仕事

「社会課題を解決したい」37歳男性が、“Amazonで商品を売る仕事”に見出した意味とは?

 皆さん、こんにちは。「物販NAVI」を運営している物販コンサルタントの船田寛と申します。
船田寛

「物販NAVI」を運営する物販コンサルタントの船田寛氏

 夢や目標を持っていたとしても実現するための手段を見つけられる人は、決して多くはありません。第11回目は、約4か月前から自社ブランドOEMを始めたIさん(37歳・男性)の事例をご紹介します。  Iさんは、これまでに広報・PR、動画や音声コンテンツの制作、プロボノ(専門知識・スキルを活かした社会貢献ボランティア)など、幅広く“複業”を行っており、年収は500万円ほどありました。それでもなぜ、Iさんは自社ブランドOEMにも力を注ぐようになったのでしょうか?

東日本大震災の経験で「お金をたくさん稼ぎたい」から「社会課題を解決したい」に

子育てイメージ

※写真はイメージです。以下同(Photo by AdobeStock)

 Iさんは現在、地元の沖縄県で自分の経験を活かしてさまざまな活動をしています。 「全て本業でもあるし、すべて副業みたいな感じではあります。いわゆる“複業”ですね。ただ、自分の中で柱となっているのは“社会課題を解決したい”という思い。特に障害がある子を持つママ・パパの子育てや職を支援したい」  沖縄県の高校を卒業後、東京の大学に進学。当時経験した東日本大震災がIさんの考え方に強く影響しており、仕事へのモチベーションが「お金をたくさん稼ぎたい」から「社会課題を解決したい」にシフトしたといいます。 「新卒では、子どもたちを支援したいとNPO法人に入社しました。そこでは障害のある子どもたちと触れ合う機会が多くあったのですが、支援できる人数には限りがありました。  支援できる対象を自分の出身地の沖縄県や日本全国まで広げるためには、法改正につながる活動をするしかない……と、あの頃は意気込んでいましたね」  日本の法改正という非常に大きな目標を設定していたIさんですが、第一子の誕生で環境が変わります。 「第一子の誕生を機に1年間の育休を取りました。妻も沖縄県出身なので生まれ育った地で子育てをしようと思い、一時的なつもりで沖縄に移住したんです。しかし職場復帰するタイミングでコロナ禍に突入。そのまま沖縄県からフルリモートで仕事するかたちとなりました。そのまま今も沖縄県に住み続けているのですが、仕事はコロナ禍が落ち着いたタイミングで独立しました」  独立に踏み切れたのは、コロナ禍において副業で始めた動画制作の需要が大きかった。病院や医療系の会社の研修などをライブ配信したり、NPO法人などのソーシャルセクターの採用活動やSNS広告用の動画制作をしたり、多くの仕事があったといいます。 「動画制作の仕事だけでも年収1000万ぐらいあったので大丈夫そうだな、と。しかし独立した瞬間にコロナが五類に移行し、動画制作の仕事が急激に減ったんです。そこで自分の仕事について考え直しました。  動画を制作するのは大きなやりがいがあるけれど、どうしてもクライアントごとの予算や都合に合わせて動かなければならない。それよりも自分でつくった商品をお客様に届ける仕事がしてみたいと考えるようになりました」  その頃、Iさんの親しい友人が私のスクールに在籍しており、OEM事業で成功していました。 「大親友が『自社ブランドOEMを始めた』って教えてくれたんです。彼の本業は医療従事者でビジネスとは異なる領域ですし、そんなにうまくいくわけがないと正直思っていたのですが(笑)、販売開始半年ぐらいで月1000個以上の商品をAmazonで売るようになって。OEMのことをいきいきと楽しそうに僕に話してくれる彼を羨ましいと思ったのと同時に、情熱を注いでいることにリスペクトを感じました。そして、今まで経験がなかった彼が、ここまで鍛えられた環境はすごいと思って、私も興味を持ちました」

“障害を持った方の役に立ちたい”という思い

Amazon 私のスクールでIさんがまず行ったのは、取り扱う商材を決めるためのリサーチでした。 「自分なりに考えて育児系が良いのではないかと。最初に思いついたのは、お父さんがワンオペで育児するときに便利な、マザーズバッグのお父さん版です。良いアイデアだと思ったのですが、実際にリサーチしてみると検索数が低く、市場がほとんどないことが発覚しました」  これは多くの生徒さんが最初につまずくポイントでもあります。もちろん、自分がやりたいことや、つくりたいものがあるのは良いことですが、実際に選定する際には「市場があるのか?」という視点が大事です。やはり、売れなければ元も子もないので。  そこを意識したうえで「自分の経験の“棚卸し”をしてみたら?」とお伝えしたところ、過去の仕事から“障害を持った方の役に立ちたい”という思いにたどりついたそうです。 「新卒で入社したNPO法人の仕事で、自閉症や発達障害・身体障害の子どもたちがイヤーマフ(※ヘッドホンのような形状で、装着すると大きな音をやわらげる)をつけていたことを思い出しました。日常生活で聞こえてくる音に対して、聴覚過敏の悩みを抱えている子が多いんです」  イヤーマフをAmazonで検索してみると、新卒だった頃から約15年経っているにもかかわらず、商品のデザインや機能が変わっていないことに驚いたという。 「子どもたちにとって快適とはいえない商品が並んでいました。既存のイヤーマフは“工事現場”で使用する大人用のものがほとんど。そのため、遮音値(音をさえぎる力を表す数値)が非常に高く、壊れにくいように重くて硬い造りになっている。これを子どもが長時間つけていると、当然、痛くなってくる。  また、深夜の工事現場でも目立つように、たいていのイヤーマフがビビットカラーなのですが、学校や日常生活でつけていると目立ちすぎるわけです。目立ちにくい黒や、子どもたちが好むパステルカラーがあれば、喜ばれるのではないかと思いました」
次のページ
商品化に踏み切るまでの道のり
1
2
物販コンサルタント。自社ブランドOEMスクール「物販NAVI」運営。かつては大手物流企業に勤めるも給料が少なかったことから新聞配達や深夜の警備員などでなんとか生活。ある雑誌で「せどりで稼ぐ方法」の記事を見つけたことをきっかけに、2011年6月より国内転売をスタート。2014年9月に脱サラ、法人設立後は自社ブランドOEMで月収500万円を達成。現在では物販スクールの講師としてコンサルも行いつつ、売り上げは月商2000万~2500万円をキープしている。YouTubeチャンネル(@navi913)でも情報発信中。

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ