更新日:2024年07月12日 12:48
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「斜陽のボウリング業界」でも関係ナシ。創業51年の老舗「笹塚ボウル」は“地域の社交場”になっていた

「地域のコミュニティスペース」としての価値

社交場としての価値

本格的な飲食が評判となり、ウェディングパーティやDJパーティの需要も増えた

 笹塚ボウルの設備リニューアルにはもう一つの狙いがあった。貸切イベントや企業のコンペ、懇親会など、ボウリング場を「イベント会場として利用する」というニーズも取り込むことが可能になったのだ。  2011年の東日本大震災も大きな転機になった。帰宅困難者を受け入れる避難所として笹塚ボウルを開放した時、財津さんは「地域に大きいスペースがある施設は体育館とボウリング場しかない」と気づいたという。 「ちょうど、『ボウリング場に何かできる役割はないか』と考え始めた頃だったんです。この地域で広いスペースを提供できるのは笹塚ボウルぐらいだと思って、それ以来“地域のコミュニケーションのハブになる”ことを目指してきました」  日中は地元の高齢者が通い、夕方は中学生や高校生がボウリングを楽しみに来店する。夜は企業コンペが開かれ、深夜は音楽好きの若者が集まる。笹塚ボウルに来る目的は違えど、地域に老若男女が交わる場所が少ないからこそ「地域の人たちが交流できる社交場」を意識してきたというわけだ。

唯一無二の「ボウリング×DJイベント」を実現

DJブースを設置

DJブースを常設にし、で設営と撤収のコストを削減

 そして、2022年にはバンド演奏ができるライブステージや常設のDJブースを設置。特に、DJブースには財津さんの並々ならぬこだわりが詰まっている。 「若い頃からクラブカルチャーが好きで、25年はクラブに足を運んでいます。そこで出会ったDJと仲良くなり、笹塚ボウルのイベントにブッキングしたこともありました。ただ、ボウリング場だからと言って、“音”が良くなければ、実力派のDJには出演してもらえない。良質なサウンドシステムにするために、某クラブオーナーから約3年間クラブ営業の“いろは”を学ばせてもらいました」  音楽を聴きながら踊ってもいいし、 ボウリングをプレイしても、フードを頼んでもいい。ボウリング×DJイベントが楽しめるのは、まさに笹塚ボウルの強みであり、大きな独自性につながっていると言えるだろう。
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コロナ禍で売上40%減からの復活
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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