「まさに老人天国」“やりたい放題の高齢者”だらけの職場で働くシングルファザーの叫び――人気記事ベスト
過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2024年9月17日 記事は取材時の状況)
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会社や役所、駅、学校のトイレで清掃員を見かける。小便、大便を体から出すのは人が生きていくうえで極めて大切で、最も基本的なこと。だが、新聞やテレビ、雑誌ではその最前線にいる清掃員を大きく報じることは少ない。
今回は、高齢の清掃員の中で苦しむ40代の男性を紹介したい。この清掃会社(正社員600人)の現場(拠点)で働くパート社員2500人の平均年齢は、72歳。定年退職後、年金だけでは生活ができない人や外国人が多い。60歳以下では自営業者や会社員の副業、結婚したものの、離婚や死別した後にシングルファーザー・マザーとして働く人も少なくない。主に首都圏の高校、大学、公的機関、ビル、公園などの清掃を請け負うが、それらの拠点の1つで働くシングルファザーに取材を試みた。
4年前にうつ病の妻と離婚した吉井孝仁(仮名、48歳)は、フリーランスのウェブデザイナーとして働く。都内の私立高校に通う長男と公立小学校6年の次男を養うためには、額面で月平均45万円の収入では足りない。四国に住む母親が年金だけでは生活ができないために月に2~3万円を仕送る。手元に残るのは、30万円台半ば。ここから、賃貸マンションの家賃18万円が消える。
2人の息子を自分が卒業した一流と言われる有名私立大学に進ませたい。その入学金や学費、生活費を考えると、フリーランスで賞与がない以上、少なくとも毎月60~80万円は欲しい。そこで3年前から週4日、18時~22時半にパートとして勤務する。時給は1650円で、月に11万円前後、年間で130万円程になる。
「本業に悪影響を与えたくないのでストレスを感じないような単純労働で、人間関係に苦しまない職場を選んだつもりだった。家庭の清掃を離婚後、1人でしているからなんとかなると思った」
勤務先は、山手線のS駅そばの大型ビル。自宅から自転車で20分で着く。20階建てで、70を超える企業や団体が入居する。パート社員は吉井を含め、30人。所長が30人の配置を決める。吉井が強い不満を持つのが、この配置だ。
「指示をしやすい人や仕事ができる人に任せる量が多く、高齢者や慣れていない人、病気をしている人には極端に少ない。量が多い人に時給を上げたり、賞与を支給すれば納得いくが、時給は全員が同じ。賞与はない。それどころか、量が多いとトラブルが増え、クライアントであるビルの管理会社からクレームがつきやすい。所長から注意指導を受けるのは、得てして量の多いパート社員となる。その1人が、自分」
吉井はまず、18時から20時までごみ回収をする。1階から12階まで200程あるごみ箱を1人で周る。「燃える」「燃えない」「ペットボトル・缶・びん」の箱にあるものをそれぞれのビニール袋に入れ、台車に乗せ、地下1階のごみ集積所に運ぶ。2時間ですべてを終えるために、小走りで動く。夏は全館冷房だが、水をかぶったくらいの汗をかく。
とにかく、分別が出来ていない。目立つのが燃えるごみの中に、缶やペットボトルが入れてあるもの。挙げ句に正露丸や便秘薬のビンも放り込んである。
「最も困るのは、家庭用のごみを入れてある時。家で捨てると、分別が出来ていないから区や市の清掃車が持っていってくれない。だから、職場のごみ箱に持ってくるのだと思う。たとえば、パンティーに血やしみ、ウンチがついたもの。1級建築士の資格試験のテキストに食べ残しのパンやハムのかけらがはさまっていた場合もある。これらを分別するのは臭いが強く、手がただれ、時間がかかる」
粗大ごみになるはずの30センチを超える電化製品が、燃えるごみに突っ込まれている時もあった。吉井は「捨てた者勝ち。無責任な奴のやりたい放題」と怒る。1年半前にコロナに感染し、40度近い熱で数日間苦しんだ。次男も感染した。感染源は、このゴミだと思っている。だが、所長は認めない。
職場の役割分担にただよう不公平感
1階から12階まで200程あるごみ箱を1人で…
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1977年、神奈川県生まれ。全国紙の記者を経て、2022年よりフリー
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