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“店舗激減”ミニストップ。安売り戦略で迷走、個性の「店内調理」も今や武器になりえず…大手3社との差は開くばかり

国内は不採算店を閉鎖、海外事業は大幅縮小

 コンボストアモデルで差別化してきたミニストップですが、2010年代後半から国内のコンビニ市場の拡大が鈍化すると、市場拡大の波に乗れず国内事業が悪化し始めます。2017年2月期末時点で2,263店舗だった国内店舗数は、不採算店の閉鎖、そしてコロナ禍の影響により、25年2月期第3四半期時点で1,848店舗にまで減少しました。  国内ミニストップの日販は約43万円ですが、これは69万円のセブン-イレブン、55万円前後のファミマ、ローソンに大きく差を付けられています。セブン-イレブンの客数・客単価はそれぞれ約900人・750円であるのに対し、ミニストップのそれは約670人・650円しかありません。駅前店舗が少なく、住宅街にあるなど立地の悪さが指摘されますが、低い客単価は商品力の低さを現しています。ミニストップは「良い商品を提供できず、収入減→好立地に店を構えられない→収入減」のループに陥っているといえます。  海外事業についても、国内同様に成績は芳しくありませんでした。年間数億円の赤字を垂れ流していた海外事業は同社にとって重石となりました。約2,600店舗の韓国を中心に、21年2月期末段階で海外には3,315店舗ありましたが、韓国事業はロッテグループに売却。フィリピン事業も現地の合弁企業に売却し、現在ではベトナムの約180店舗を残すのみとなっています。ミニストップは、セブンが韓国初のコンビニを構えた翌年の1990年に韓国に出店しましたが、現在では現地勢2社とセブン-イレブンで構成されるトップ3に大きく差を付けられ、競争激化で苦戦していました。

利益は改善傾向も、人件費や売上原価の増加で…

 なお、近年の業績は次の通りです。 【ミニストップ株式会社(21年2月期~24年2月期)】 営業総収入:1,802億円→1,837億円→813億円→791億円 営業利益:▲55.3億円→31.4億円→▲10.4億円→▲6.1億円  23年2月期は売上1,000億円以上あった海外事業のほとんどを売却したため、全社の収入が大幅に縮小しました。また、近年では国内も不採算店の閉鎖を進めました。一方で不採算店の閉鎖、そして赤字の海外事業売却により、利益は改善しています。しかし今期25年3月期は人件費や売上原価の増加に見舞われ、通期では営業総収入900億円と増加を見込むものの、営業利益は23億円の赤字と同社は予想しています。
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当初は“新しかった”ものの、今では中途半端な存在に…
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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