更新日:2023年05月24日 14:54
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「新型コロナ・経済・検察人事」今の日本で大事な点は3つだ/倉山満

「生物兵器説」を垂れ流した言論人の責任を問う段階に入ったと考えるべきだ

言論ストロングスタイル

森まさこ法相が東日本大震災の際「検察官が最初に逃げた」と事実に基づかない答弁をした問題を巡り、安倍晋三首相は厳重注意にとどめ、森氏の続投が決定した 写真/時事通信社

 もはや、この世の終わりか?  コロナウィルスでパニックになっているところに、リーマンショック以来の株価暴落。そして、国会では小西洋之(コニタン)がマトモなことを言い出した。これこそ本物の天変地異だ。明日は沖縄に雪が降るか? それとも地球に隕石がぶつかるか? とにもかくにも、人心は大混乱だ。  そんなある日、我が国の副総理閣下であらせられる麻生太郎財務大臣が、新型コロナウィルスに関して大胆に言い切った。 「これは一言で言うと、ウィルス性の風邪」「対策は風邪と同じ」「体を温かくして、うがい手洗いをしっかりしましょう」  それ、日本で一番パニックになっている、安倍晋三総理大臣閣下に言ってあげればよいのではないか。あの「アホウ太郎」が冷静沈着に科学的な知見に基づいた発言をしている! いよいよUFOでも飛来するか、末法の世か。  ただ、この麻生大臣の断言には、少なからずの人々が安堵したのではないか。特に、根強く残る「武漢ウィルス=生物兵器」説には、未知の病原体であるだけに多くの人々が怯えていたであろうし。保守を標榜する月刊誌とタブロイド紙を見よ。まるで『ムー』と見まごうようなタイトルが並んでいる。中身を読むと、さらに目の毒だ。  さすがに安倍首相も、陽性反応が出ながら回復した人の数を明言した。仮にコロナが生物兵器だったとしても、自然治癒するようでは使い物にならない。もはや「生物兵器説」を垂れ流した言論人の責任を問う段階に入ったと考えるべきだ。  では、一応はプロと思われる人たちは、なぜヨタ話を信じ、拡散してしまったのか。検証すれば、プロの言論人の皆さんが、プロの技術が無いどころか、大学生の卒業論文レベルで身につけておかねばならない技量を持ち合わせていないという現実に行きつく。  まさか連中も、この騒動を「ビジネスチャンス!」と考えるような下衆ではあるまいが、それにしても扇動は目に余った。「パンデミックは確実」「世界の70%が感染する」「日本人は最大57万人が死ぬ」等々。いずれも、Yahoo!ニュースの見出しであり、地上波でも同様の内容が報じられた。「専門家」の見解を紹介する間接話法が、伝言ゲームのようにメディアで伝わり、恐怖を拡散した。  WHO(世界保健機関)はパンデミック(世界的に広がる感染症)を宣言した。だが、今回のコロナに罹ったとしても死ぬ人間はほとんどいない。確かに、新型コロナウィルスは未知の病原体であり治療薬はないが、そんなものはノロウィルスも同じだ。寝て治すしかない。ホラー映画の影響で「パンデミック」という言葉の影響力は大きいが、不必要に恐れては余計に恐怖が広がるだけだ。  こう考えると「感染率最大70%」と聞かされても、治るのであれば、これまた不必要に恐れなくてよい。ちなみに元ネタを探ると、「専門家」氏は「40~70%の感染率を警戒すべき」と一つのシナリオを述べているに過ぎない。
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現在の日本で大事なのは、三つの繋がった問題
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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