資さんうどん「年間540万個売れる」和スイーツが存在するワケ。“うどんと交互に食べても”違和感がない
北九州市を中心に70以上の店舗を展開してきた、北九州発祥のうどんチェーン「資さんうどん」。1976年の創業以来、およそ半世紀にわたり多くの人に親しまれてきた。
2024年には外食大手・すかいらーくホールディングスの傘下に入り、翌年2月には東京都内初となる「資さんうどん両国店」をオープン。2ヶ月が経った今も、店舗前には連日行列ができている。
そんな同社だが、実はうどんだけではなく、おでんやおにぎり、丼などのサイドメニューを含むと150種類以上のメニューを取り揃えているのも人気の要因だ。
なかでも「ぼた餅」は高い人気を誇る商品の一つで、年間540万個以上を売り上げるそうだ。しかしなぜ、うどんとぼた餅なのだろうか。
本記事では、関東地域の営業責任者・田島司さんにぼた餅誕生の経緯や愛され続ける理由に迫るとともに、東京での反響についても話を聞いた。
牡丹の花が咲く頃に食べられる餅──ぼた餅を、資さんうどんではなぜか、うどんと一緒に楽しめる。まずは、その独特な食文化が生まれた歴史について詳しく伺った。
「我々のルーツである北九州はかつて、重工業が栄えていた街でした。労働者は、24時間、3交代制で昼夜を問わず働き続けていた。その合間に食事をとる場所として、日常的に屋台が利用されていたんです。
ただ当時は、屋台でお酒を飲むことには制限がありました。飲み過ぎてしまう方もいるため、基本的には屋台側はお酒を出さず、最低限の量の持ち込みだけは許されていて。
その代わりに屋台でぼた餅などの和菓子を提供していました。甘いものを提供することで、仕事の疲れを癒してほしいという気持ちがあったんだそうです」
過酷な労働環境のなか、甘いものを食べることで、働く人々の疲れを和らげ、少しでもリフレッシュしてもらおうと考えていたのだ。つまり“屋台でぼた餅を提供する”ことは、北九州の労働環境と密接に関係し、その地域の食文化の一部であった。
そんな背景を知った資さんうどんの創業者・大西章資さんは「その独特の文化が面白い」と、北九州の食文化をうどん屋に取り入れることに。
うどんと一緒に食べても美味しいぼた餅の開発に取り掛かった。お客さまに喜んでいただきたいという一心で、何度も餡子を炊いては味見を繰り返し、約4カ月をかけて完成、ぼた餅の販売をスタートした。
たちまち評判を呼び、創業から約10年後の1987年には、資さんうどん全店舗での販売を開始した。そこから店舗の拡大とともに販売数が増加し、現在では年間540万個以上を売り上げる定番商品となっている。
ぼた餅というとお彼岸のイメージであるが、資さんうどんのぼた餅は、特別な食べものとしては存在していない。
お店を覗くと、多くのお客様がぼた餅をうどんと一緒に食べ、食事の後はお土産として持ち帰っている。極めて身近な存在となっているのだ。
そんな資さんぼた餅の味わいには、どのような工夫がされているのか。
「ぼた餅単体でも美味しく楽しめるかつ、食事と一緒に食べても違和感のないように仕立てています。
まずは素材の選定にこだわり、北海道産の小豆と国産のもち米を使用。加えて、うどんに寄り添うぼた餅として、資さんうどん独自のレシピを開発し、甘すぎない少し塩気のある味わいに仕上げました」
結果、ぼた餅とうどんを交互に食べても違和感がなく、むしろ一緒に自然と楽しめる、他にはないぼた餅が出来上がった。

資さんうどんの「ぼた餅」1個160円(税込) ※取材した両国店では「ミニぼた餅」110円(税込)として販売

関東地域の営業責任者・田島司さん
ぼた餅は北九州の「屋台文化」から生まれた
1年間で540万個を売り上げるための工夫

カツカレーやぼた餅など、うどん以外のメニューも充実している
広島生まれ、東京在住のライター。早稲田大学文化構想学部卒。趣味で不定期で活動するぜんざい屋を営んでいる。関心領域はビジネスと食、特に甘いものには目がない。X(旧Twitter):@fujikawaHaruka
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