山崎製パン「薄皮シリーズ」5⇒4個に変えて売上1割アップ。“時代に合わせた”商品開発の裏側「1日100種類パンを食べたことも」
山崎製パンの人気シリーズの一つ「薄皮シリーズ」。小さいサイズながらも、中身がぎっしり詰まった“ミニパン”で、あんぱんやクリームパン、期間限定味を含めた菓子パンシリーズとして展開してきた。
2024年には同シリーズにて“惣菜パン”シリーズを発売開始。なかでも「たまご味」は発売から10ヶ月で、累計1600万個を突破しているという。
なぜ薄皮シリーズで“惣菜パン”に注目したのか? 営業統括本部 マーケティング部の部長、早川史朗さんに、現在のパン市場を踏まえた開発理由や今後の展望について聞いてみた。
食べやすさと食べ応えを両立する「薄皮シリーズ」の最初の商品「薄皮つぶあんぱん」が生まれたのは2001年。もともとは「ふつうのあんぱんより食べやすいサイズで、中身がずっしり入ったあんぱんを食べたい」といったお客様の声から生まれた。
ミニサイズのパンだが一つ食べると一定の満足感を得られ、一袋買うと何人かとシェアできる点がヒット。誕生してから約20年、ファミリー層を中心に人気を集めてヤマザキの人気ベストセラー商品になった。
そんな薄皮シリーズだが、2023年には衝撃のニュースで話題を集めた。原材料高騰の影響を受けて、これまで一袋5個入りだったものを4個入りに変更したのだ。
ただ実態としては、数を減らすだけではなく、代わりにパンの中身を増やし重量をつけることにした。
ニュースを聞いた長年のファンからはSNSを中心に悲しむ声が上がる一方で、「コストカットしながらも満足感を維持させたのでは」と好意的な声も広がり、売り上げは以前よりも1割程度上がったのだそう。マーケティング部長の早川さんが当時を振り返る。
「部長という立場、数を減らすことは『失敗したらクビになる』ほど緊張感ある決断でした。変更してからもうすぐ2年が経ちますが、薄皮パンの売り上げは変更前よりも成長しており、結果的には皆様に受け入れていただけたのかなと思います。
何十年も販売する、いわゆるベーシックな商品の売り上げが伸びることは難しいため、この結果に対しては素直にうれしいですね」
ヤマザキの人気ベストセラー「薄皮シリーズ」
5→4個に変更して売り上げが1割アップ

広島生まれ、東京在住のライター。早稲田大学文化構想学部卒。趣味で不定期で活動するぜんざい屋を営んでいる。関心領域はビジネスと食、特に甘いものには目がない。X(旧Twitter):@fujikawaHaruka
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