「産んで後悔している」母親からの暴力、社長からの性被害…壮絶な人生を歩んだ31歳女性が信じるもの
音楽ユニット・Superstesは、機能不全家族出身の虐待サバイバーで結成された。リーダーを務める希音(のん)さん(31歳、@nonskr43)は、母親による家庭内暴力の被害者だ。彼女はなぜ、虐待の当事者と音楽を結びつけて活動するのか――。本人に話を聞いた。
希音さんは神奈川県で生まれた。両親は彼女が3歳のときに離婚し、その後、母とともに母方の実家で暮らしたという。物心ついたときにはすでに、母の暴力に晒されていた。
「母の暴力がいつから始まったのか、はっきりとはわかりませんが、小学校入学の時点ではあったと思います。実家に身を寄せている母は働いておらず、日常的に暴言を吐いたり、祖母に対しても暴力を振るっていました。殴る、蹴る――特に蹴られることが多かったですね。今冷静に振り返ると、彼女もまた何か精神的に病んでいたのかもしれませんが、当時は私も幼く、ひたすら怖かった記憶があります」
暴力による支配はもちろん、母親はこんな呪詛で希音さんを雁字搦めにした。
「たとえば小学校の成績で‟5”を取ったとしても、離婚した父の名前を出して、『あいつの子どもなんだから、お前なんかうまくいかない』みたいなことを言われたりしました。小6か中1くらいだったと思いますが、面と向かって『産んで後悔している』と言われた衝撃は今でも覚えています」
勉強を頑張る娘に対して腐すような暴言の意図は、このようなものだったのではないかと希音さんは推察する。
「私に家事をやってほしかったのだと思います。母は当時、祖父母からお小遣いをもらって生活していました。彼女は家事をやらず、娘である私が掃除機をかけたり、家族のぶんの料理を作っていました。勉強に熱中されると、家事がおろそかになるのでいい顔をしなかったのだと思います」
息苦しい子ども時代を過ごし、希音さんは「大学は行かせたい」という祖父母の援助を受けて大学に入学。20歳で一人暮らしをすると、実家とは徐々に疎遠になったという。
希音さんは虐待サバイバーであることはもちろん、現在でいえば、ヤングケアラーにあたる。だが一方で、大学に進学するなど、祖父母による経済的な手助けもあった。このことについて、彼女は非常にアンビバレントな感情を抱いているのだという。
「金銭的な援助をしてくれたことは、祖父母に対して非常に感謝しています。ただ、母が明らかに普通ではない精神状態であるにもかかわらず、世間体を気にして精神科医療に繋がなかったのも、祖父母なんですよね。事実、私は小さい頃、ヨソで家庭内で起きた出来事を言うのを祖父母によって止められていました。世間に対して恥ずかしいという思いが、頑なに見て見ぬふりをする結果になり、母の病理が深刻になったのではないかとさえ思っています」

希音さん
面と向かって「産んで後悔している」と…
祖父母に感謝しつつも…アンビバレントな感情が
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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