お金

仮想通貨が大暴落!「貯金を仮想通貨にオールイン」している男の資産が“最悪の事態”になった結末…

『賭博黙示録カイジ』のスピンオフ『中間管理録トネガワ』の作者であるハッシー橋本が、漫画で稼いだカネで“怪しい投資”に挑む実録マンガ。一般の人が手を出しにくい投資を攻略して“億り人”になることはできるのか。 仮想通貨 仮想通貨 仮想通貨 仮想通貨

百九十九話 労働

 どーも、仮想通貨に全ツッパしてる男、ハッシーです。……と、いつもだったら堂々と言い切るところなんですが、さすがに今回は声のトーンを三段階くらい下げてお届けしております。  というのも、ここ最近の暴落が……まぁ、ひどかったのです。  俺のポートフォリオといえば「90%が仮想通貨、10%が現金」という、逆にどうやって生活しているのか説明が必要なバランスで構成されています。  この状態で“バブルきたー!”なんて浮かれていたものですから、そのあとの急降下は、そりゃもうジェットコースターというより自転車で崖から落ちたみたいな衝撃でした。  気づいたらアルトコインなんて1/3になっていて、「あれ?財布に入れておいた千円札が、家に帰ったら三つ折りのレシートになってたけど何で?」くらいの理不尽さを感じましたね。  私はしばらく画面の前で固まってしまい、ただただチャートの真っ赤な線を見つめていたのですが、だんだん自分が砂漠に置き去りにされたラクダのような気持ちになり「これ、どうすんだ?」と……。

暴落の影響でバイトを始めることに…

 しかし、暴落しようが生活は続きます。私はふと思い立ち、前から気になっていた新宿二丁目のバーでバイトを始めることにしました。  これが、思いのほか楽しかったのです。二丁目の世界は、私が仮想通貨のチャートと戦っている時とはまったく違う時間が流れています。 「今日も溶けたの?」と常連のお姉さまに笑われたり、別のお店の人がお客さんとして来たときは「暴落してるときは飲み代まけてあげたいけど、うちは慈善事業じゃないからねぇ」と優しく突き放されたり。なんだか、そのひと言ひと言が妙に沁みるのです。  それに、バイトをしている間だけはチャートも暴落も、買値も含み損も忘れられます。これは大きい。人は悩みから離れる時間があるだけで、急に元気になるものなんですね。

暴落のおかげで気づいたこと

 そして、ふと俺は気づきました。「もし仮想通貨が暴落していなかったら俺は二丁目でバイトを始めていなかった。ということは、暴落したおかげで、なんか人生楽しくなってない?」と。  普通なら「資産が減った」→「悲しい」の一方通行なのですが、私はなぜか「資産が減った」→「でも人生にイベントが増えた」という謎のポジティブ回路が開いてしまったようです。  人間、追い詰められると悟りを開くらしく、私も例にもれず「仮想通貨が暴落して良かった!」と口にしてみたら、ちょっと心が軽くなるんですね。  もちろん、本気でそう思っているわけではありません。いや、半分くらいは思ってるかな。  でも、資産の上下で人生の気分が持っていかれるより、「これはこれで良かった」と笑った方が体に良さそうな気がするのです。  そして、二丁目の夜を過ごしたあと、私はしみじみ思いました。 「やっぱ労働しか勝たん」と。  どんなバブルが来ようが、結局のところ自分の体を動かして稼ぐお金はものすごく安定していて、ものすごく温かい。  そんな当たり前のことを、大暴落と二丁目のバイトが教えてくれました。  来週にはまたコインが上がるかもしれないし、もっと下がるかもしれません。でも、どっちでもいい。俺は今日も働いて、笑って、なんとか生きています。 漫画・文/ハッシー橋本
愛知県出身の漫画家。パチンコ・パチスロ漫画を中心に活躍し、‘15年より月刊ヤングマガジンで連載を始めた『賭博黙示録カイジ』のスピンオフ『中間管理録トネガワ』が大ヒット。サウナとビールの愉悦を描いた『極上!サウナめし』はサウナ好き必見の一冊 X(旧Twitter)@hashimotosan84
【関連キーワードから記事を探す】