客30人を出禁にして「年商2倍」に。飲食店が“迷惑客”を切り捨てたら優良客が戻ってきた納得の理由
古今東西、飲食店では利用マナーをめぐるトラブルが絶えない。なかでも近年目立つのが、店側による「出禁通告」だ。SNSではたびたび拡散され、「当然だ」という声と「やりすぎではないか」という批判がぶつかり合う。カスハラ防止条例の整備が進むいま、店側の判断はどこまで許されるのか。そもそも、出禁に至る“決定的な一線”とは何なのか。実際に出禁を宣言した店への取材から、その判断の裏側を追った。

「マジで2度と来なくて結構です」
東京都目黒区内でバー「CASUAL BAR Don’tCry」を経営する神田芳朗さんは’23年2月、店舗のGoogleレビューに書き込まれた口コミに対してこう書き込んだうえで、客側への「出禁」を通告した。
元のレビューは「帰り際にグラスを割ってしまったら、客の心配よりまず第一声に、あ、弁償になるんで、と言われました」と来店時に起こったトラブルを暴露、店側の対応を非難する内容だ。
それに対し、神田さんは「そのまま帰る可能性が高いので(そう伝えた)」「まずは『割ってしまってすみません』じゃないんですか?」と、事細かに反論。店側がここまで「本気の返信」をすることは珍しいが、なぜこうした対応を取ったのだろうか。
「元のレビュー内容を他の客に鵜呑みにされると、店にとってマイナスでしかなかったからです。とくに個人経営の飲食店は、客の暴言を我慢しすぎて体を壊したり、メンタルを病んで死に追い込まれることも多いと聞きます。それもあって、自分の精神を守るためにも日頃からはっきりとした伝え方をしています」

神田さんは’19年から店を経営しており、これまでに出禁を宣告したのは20人程度。バーという性質上、対象は酔っぱらい客が多い。「大半はナンパやウザ絡みが多いですが、相手が明らかに嫌がっているのに、注意してもやめない場合に、出禁や退店を促します」と語る。
直近で出禁にしたなかで、最もひどかったケースを聞いた。
「男性3人客のうち1人がトイレで嘔吐して吐瀉物まみれにしていました。清掃後、それを伝えたところ、『俺たちはやってない』としらばっくれる始末。次に同じことをやったら清掃料を支払うように伝えると、うち1人が僕の顔面を殴ってきたので警察に通報。警察官立会いのもと、迷惑料を支払わせたうえで出禁にしました」
7年で約20人を出禁に 「暴言を我慢して心を病むのなら、はっきり伝えたい」

’23年2月、Googleレビューでの悪辣な書き込みに神田さんが行った返信。Xでは’26年4月現在までに26万を越えるインプレッションを獲得している

バー「CASUAL BAR Don’tCry」経営者・神田芳朗さん(撮影=松嶋三郎)
浅く広くがモットーのフリーライター。紙・web問わず、ジャンルも問わず、記事のためならインタビュー・潜入・執筆・写真撮影・撮影モデル役など、できることは何でもやるタイプ。X(旧Twitter):@matsushima36
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