ガールズバーでモテない君はスナックに活路を!
―[山田ゴメス]―
私ごとで恐縮だが、僕はガールズバーが、どうも好きになれない。というのも、ガールズバーに行っても全然イイ思いができないのだ。キャバクラよりダメ。過去20年間くらいをさかのぼって、キャバクラでの打率(連絡先を聞き出せた確率)が.050弱程度なのに対し、ガールズバーでの打率は、ズバリ.000!
この惨憺たる結果に、「だったら、まだスナックのほうがいいや」と、つい開き直ってしまう自分がいるのだ。ただ、そんなことを話すと、「スナックだってカウンターごしに女のコがつくし、ガールズバーと同じくらいのお金を取られるじゃん?」といった意見を言われた。でも違うのだ。スナックとガールズバーは野球とサッカーくらい趣を異にしているのである。幾人かのスナック愛好家からお話をうかがった。
(1)スナックは女子ではなく空間を楽しむ場所
「基本的にスナックは、流行り廃れとは無縁なスタンスで、長い年数営業し続けてきた店が多いので、そこには歴史とマスターの個性の積み重ねがあるんです。店内に置かれているグラスから小皿に小物、さらには黄ばんだ壁や匂いまで……。そういったものに客は惹かれて、肌が合えば常連になっていくわけです。風営法の穴をくぐり抜けるよう無理矢理作られたガールズバーのカウンターテーブルと一緒にするのはどうかと思いますよ」(恵比寿のスナックで会った常連客Kさん・40歳の飲食業)
(2)スナックで働く女子は、あくまで“目当て”であって“目的”にはならない!
「ガールズバーほど大人数ではないにせよ、スナックにだってカウンターには、たいがい女性が控えていて、僕たちの話し相手になってくれる。たしかに、その子が美人だったりすれば、その子目当てに足繁く店に通ったりもするだろうけど、かといって、その子が今日は休みだから行くのはやめた、なんてことにもならない。これって、女の子と会うことが目的となっているガールズバーではあり得ないでしょ?」(15年前からのスナック好きを自称する某漫画編集者・43歳)
(3)スナックは独りぼっちで放っておかれても大丈夫!
「スナックなら、独りで入って、カウンターの片隅で、独りで飲んでても全然ヘーキじゃないですか。ガールズバーでコレやってみなさいよ? 無茶苦茶暗いじゃないですか(笑)! 店側にしても職務怠慢ってことになるから、誰か女のコを付けてくるだろうし」(ガールズバーで女の子に相手にされなくて、やむを得ず独り飲み状態になってしまって以来、ガールズバーを忌み嫌うミュージシャン志望・30歳)
(4)スナックは料金設定がシステム化されていない
「スナックで請求される代金って、かなり適当だよね。極論、言い値(笑)。別に、たいした酒やおつまみを出すわけでもないのに、ガールズバー並みのお金取られちゃったりして……。でも、逆にいえば、“今月お財布ピンチだから、コレだけのお金で飲ませて!”みたいな融通も利く。一方、ガールズバーは、お酒一杯ン百円で、30分でン千円、延長したらプラスいくら……、みたいにキャバクラと同様の料金システムがきちんと設定されてるじゃない? “今月お財布ピンチだから〜”なんて口に出した日にゃ、“じゃあ、お帰りください”ってことになっちゃう(笑)」(温泉街のスナックでぼったくられた経験があるくせにスナックマニアであり続ける、その道30年の自営業者・49歳)
(5)女性を同伴できるかできないかが決定的な違い!
「スナックはデートの場にも使えるけど、ガールスバーに女の子は連れて行けないよね。“ガールズバー? 一回行ってみた〜い!”とか、せがんでくるコもいるけどさ。だからって、“じゃあ行こっか?”なんてことになる? 意味わかんないよ。どんだけお金あり余ってるの、って感じ」(「行きつけのいいスナックがあるんだよ」が口説き文句のヤングスナッカー・27歳の美容師)
店で働く女子とのコミュニケーションが売りの一つであるのに、モテを競わなくて済むのがスナックの最大の長所。この僕たちアラフィフ世代にとっては涙モノの精神的な開放感を、肉食ぶりっこに疲れかけている若いアナタにも、ゼヒ体感していただきたいものだ。<取材・文/山田ゴメス>
【山田ゴメス】
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。日刊SPA!ではブログ「50にして未だ不惑に到らず!」(https://nikkan-spa.jp/gomesu)も配信中。現在「解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ系列)(http://www.ntv.co.jp/99answer/)に“クセ者相談員”として出演。『クレヨンしんちゃん たのしいお仕事図鑑』(双葉社)も好評発売中!大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するライター兼コラムニスト&イラストレーターであり、「ネットニュースパトローラー(NNP)」の肩書きも併せ持つ。『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。保有資格は「HSP(ハイリー・センシテブ・パーソンズ)カウンセラー」「温泉マイスター」「合コンマスター」など
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