福山雅治「リアクションも、突き詰めればアクションになる!」
ミュージシャンとしても俳優としても大活躍の福山雅治。「でも、本当にやりたいことは?」。意地悪な人はそう尋ねてしまうかもしれない。しかし福山の神髄は「リアクション」。人が彼に何かをさせたくなってしまうところにある。そこから生まれるクリエイティブの重要さを知り尽くした彼に、その極意を聞いた。
――今夏のロンドンオリンピックでは、カメラマンとして活躍されていましたね。俳優、ミュージシャン、そしてカメラマン……本当に活動の幅が広いですよね。
福山:シドニーからだから、気がついたら、今回で4回目になりますね。
――『魂のラジオ』を聴いていたら、ロンドンオリンピックの現地で『範馬刃牙』の最終回もチェックされてましたね(笑)。さすがだなぁと。
福山:あのラストは見逃せなかったですからね(笑)。
――同じ回の放送で、福山さんがご自分のことをリアクション的って言っていたのも印象に残ったんですよね。
福山:「リアクション芸人」ならぬ「リアクション俳優」ね。「押すな、押すな」って言いながらも、押してもらえないと熱湯に飛び込めないっていう……(笑)。
――でも、押されて輝くところに、何か福山さんの魅力の秘密があるような気がするんです。
福山:常に「こいつにこれをやらせたら、どうなるだろう?」っていう想像を掻き立てる素材でいたいとは思っていますね。比べるのもおこがましいですが、例えば、高倉健さんがもう一度ヤクザ役をやるところを見てみたい、とか。
――なるほど。福山さんの仕事の幅が広いのって、ご自身の意思もあると思いますが、それ以上に、福山さんが「リアクション」の人だからだと思うんです。
福山:僕にとって、自分がまったく想像していないオファーが来ることはかなり重要で。そこには相手の思惑もあるでしょぅけど。自分の思考回路を越えたオファーに応えて初めて芸の幅や深みが出てくると思っています
――表現する仕事に携わる方って、どうしても内発的なモチベーションのほうが重要視されがちですよね。
福山:そうやってひとつのことを極める求道者的な生き方のほうが「本物」みたいな感じはありますよね。僕も、いろんなことを手広くやっている人より、ひとつのことをじっくりやっている人のほうが好きですもん(笑)。ただ、こと自分が活動してきた歴史に関しては、こういう感じでいろいろやっているほうが、自分へのフィードバックが大きかったんです。それって器用貧乏とも言えるんでしょうけど、ただ、自分の許容力に加えて、スタッフワークも重要だと思います。ウチのスタッフはあらゆる局面に対応してくれますからね。
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取材・文/九龍ジョー 撮影/齋藤清貴
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