ボランティアにハマる心理と行動するうえでの問題点とは?
GWに被災地に次々と乗り込むボランティアたち。なぜ人は、ボランティアに惹きつけられるのか。今回、8日間のボランティアを通じて、「人生観が変わった」と豪語する加藤友保さん(仮名・30歳)が証言する。
「たとえば、トラックから倉庫へ物資を運ぶ際に、ラインをつくって『ハイ!』、『ハイ!』と声を掛け合いながら手渡しするのですが、普段、職場では味わったことのないような一体感がありました。それに、1日ボランティアを一緒にするだけで、知らない者同士でも絆が生まれます。確かに報酬はないですが、この体験こそ、プライスレス。やってみた人じゃなきゃわかりませんよ」
しかし、気仙沼でボランティアの受け入れをしていた某NPOスタッフは、こういった人こそ危険と警鐘を鳴らす。
「ボランティアをしたいのか、それとも自己満足をしたいのか。カタルシスを味わいたいタイプは、後者の人に多かったです。彼らは作業をえり好みする傾向もあり、使いにくい。実際、『私は英語が得意だから、こんなときこそ英語を被災者に教えたい!』と頼んでもいないことをやりたいと主張する人もいました。個人や少数で来るボランティアに顕著で、大きなボランティア団体以外の支援を断る自治体が多いのは、こういった人の流入を防ぐためです」
その一方で、「ボランティアが特定地域に偏って集まることも問題」と主張するのは、自ら少数先鋭の組織を立ち上げて、宮城県内で炊き出しを行う”チーム王冠”の代表だ。
「今は、中心地から外れた目立たない町や村こそ人員が必要なのに、大きな団体は被災者の多いところしかカバーしません。しかし、有名な団体にしかボランティアが集まらないというジレンマがあります。自治体を含め、システム的な問題が横たわっているんです」
「被災地でできたかけがえのない仲間」と加藤氏。まるで林間学校だ
取材・文・撮影/SPA! GWボランティア取材班
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