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「昨年12月の衆院選は違憲」の判決をボケーっと待ってみた

「一票の格差」「違憲」などの検索ワードでこのページに来た方には最初に謝っておきます。裁判の内容について詳しく知りたい方は、ほかのニュースサイトを見てください。  ソマリアの海賊裁判(https://nikkan-spa.jp/369678)をきっかけに、裁判傍聴に興味を持つようになった記者は、本日、東京高裁で行われた昨年12月の衆院選を弁護士グループが一票の格差をめぐり「選挙無効」と訴える裁判に興味を持ち、いそいそと東京高裁に赴いた。  昨日のうちに東京高裁の傍聴券交付情報をネットでチェックしたところ、なんと「選挙無効」について4件もの裁判で傍聴券が交付されるという。ソマリアには多少詳しいが(といっても、ソマリアに行ったこともなく、多忙にかまけて高野氏の大著『謎の独立国家 ソマリランド』をまだ最初のほうしか読めていないことがバレて、高野氏に平謝りしたような状態だが)、司法裁判取材については詳しくない私は、「この朝10時からの裁判に行けばいいんだろう」と、本日朝から傍聴券の抽選に並んだのだった。  ところが、係の人が「38枚の傍聴券に対し、26人が並ばれましたので、無抽選となります」とアナウンス。あれ、もしかしたら選挙無効になるかもしれない裁判なのにずいぶん、注目度が低いんだな、と思っていたら、それもそのはず、この裁判は新聞などで報道されていた今日判決が出る裁判とは別の、第一回弁論だったのだ。  裁判はあっさりと終わり、あわてて裁判所の一階へ。実はここに本日行われる裁判の資料があり、ネットの「傍聴券交付情報」には書かれていない、「第一回弁論」「判決言渡」などの情報が書かれているのだ。  それを見ると、今日、判決が出る裁判は14時30分に開廷らしく、出直すことに。  13時40分頃に再び裁判所に到着すると、裁判所の前には報道陣が集まり、傍聴券配布の場所には傍聴希望者がズラリと列をなしている。さすがは話題の裁判だ、と私も列に並んで14時10分に再び係の人のアナウンスを聞く。 「27枚の傍聴券に対し、114人が並ばれましたので、抽選となります」  倍率約4倍か……と、頭の中で計算し、当選番号の書かれたホワイトボードを見ると、私の番号はなかった。  まあ、せっかく来たのだし、もしかしたら「選挙無効」の歴史的判決が出る場に居合わせられるかもしれないし、と裁判所の外に出て報道陣に紛れる。とても天気のいい中、外国人の強制退去に反対しているデモを見送ったり、報道陣に大声を上げる男性を目撃したりしながら、「ああ、久々に日向ぼっこしているなぁ」とボーッとしながら、判決を終えた弁護団を待っていた。

裁判所の前で「違憲判断」の幕を報道陣に見せる原告の弁護士グループ

 14時半に開廷して待つこと45分。15時15分に原告の弁護士グループが、判決の書かれた幕を持ち、裁判所の外に現われた。「違憲判断」と幕には書かれ、弁護士たちは意気揚々とした感じ。報道陣に対し、写真撮影の時間が設けられたのちに、囲み取材の状態に。どうやら、選挙無効の請求は通らなかったようだ。 「今回の裁判は、今の国会が正当性を持っているかが問われました。そして、高裁は明確に『違憲である』と断じました。これは今の国会が正当性を持っていないという、非常に厳しい判断です」 「我々はもっともっとよい判断を、各地の高裁が出してくれることを期待します」 「今の国会議員には国家権力を行使する資格がない、ということです」  弁護士たちは順番に発言をし、記者会見のため裁判所に戻っていった。  さて、ダラダラと書いてきたが、今回、弁護士グループたちは全国の計31選挙区で訴訟を起こしており、本日をかわきりに27日まで各地で判決を言い渡されることになる。今日の判決では選挙無効の判断は出なかったが、はっきりと「違憲」という判断が下ったことは大きい。    自民党は現在、衆院の定数即減で比例を30議席削減する案のとりまとめに動いているが、これから続く判決が政治にどのような影響を与えるのか。要注目である。 <取材・文/織田曜一郎(本誌)>
謎の独立国家ソマリランド

世界をゆるがす、衝撃のルポルタージュ、ここに登場

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