“計画から50年でまだ半分”の首都圏三環状道路、完成が見えてきた
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
◆完成が見えてきた首都圏三環状。その工事現場を巡ってみました!
清水草一=文・撮影 Text & Photograhs by Shimizu Souichi
アベノミクス第三の矢は成長戦略。「これこそ日本経済再生の本丸」と語る専門家は少なくないが、本当ですか?
少なくとも効果が現れるまで、かなり時間がかかることは間違いないのではないでしょうか。
たとえば首都圏三環状高速道路の整備。実はこれ、小泉内閣発足当時(12年前)の成長戦略「都市再生プロジェクト」の一つだったんですよ! しかも基本計画ができたのは50年前。どんだけ時間かかっとるんじゃ!
もちろんこれが完成すれば、首都圏の物流はかなり効率化され、経済成長にも寄与するでしょう。でも、50年かかってもまだ半分しかできてないわけでして、成長戦略は本当に大変です。これで「ムダな公共事業をやめろ」なんて言われた日にゃキレるぜ!!
道路交通ジャーナリストである不肖ワタクシにとって、首都圏三環状の開通は悲願。一ドライバーとしても念願中の念願だ。現状、アベノミクス第一の矢・第二の矢のおかげで景気が上向いてきており、そうなると近い将来、交通量も増えるはず。渋滞が悪化する前になんとか開通を! と、心から願っておるのです。
一応現在の予定(目標)では、3年以内に完成率は約8割までアップするはず。そこまでいけばこっちのものだ。首都高を通過しなくても、首都圏をおおむね行き来できるようになるから!
でもこの開通目標、本当に大丈夫か? 心配になったので、約1か月かけて建設予定地をすべて巡り、この目で確かめてみました。
まず最重要区間である、圏央道の東名-東北道区間。これができれば、中京・関西と東北方面を直に結ぶ“日本の大迂回路”が完成する。
神奈川区間(相模原相川-高尾山間)は、ついに用地買収がすべて終わり、現在工事の真っ最中。こうなると進捗は速い。今年度中の開通も大丈夫そうだ。相模川橋の壮麗な橋脚も、7割方完成していた。
⇒【写真】https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=444755
桶川市の市街地には、どうしても立ち退いてくれない未買収地がまだ残っているが、これも1年前に収用手続きが認可されたので、法律上は決着がついた。見た感じ、残りは数軒。うまくすれば2年以内に開通できるかも。日本の大迂回路完成まで、間もなくであります!
都心東側の最重要路線は、外環道千葉区間だ。予定地に沿って全線巡ってみたが、まだ立ち退かずに頑張っているのは、こちらもほんの数軒と見受けられた。国交省の発表でも用地買収率は99%。松戸市内では、すでに巨大な掘割がズンズン掘り進められており、そのダイナミックさに工事萌え。これなら予定通り3年以内に開通できそうです! 涙。
⇒【写真】https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=444756
※【後編】へ続く「問題は圏央道の最も南側、藤沢-釜利谷JCT間」 https://nikkan-spa.jp/444733 <圏央道相模川橋> 相模川を横断する橋梁が建設中。その南側では、まだ山を切り崩している段階の区間もあるが、すでに用地買収は完了済み。1年以内に東名と関越道が結ばれる。よかった! <外環道千葉区間> 写真は松戸市の工事現場。全線半地下の掘割方式で、用地幅は60メートル。市川市菅野付近には、予定地上に数軒の家屋が残っているが、「話し合いは進みつつある」(関係者) 1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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