「F1マシンは、思ったより安上がり」F1オーナーの弁

 マンガやアニメの世界ならともかく、現実にはほかのクルマと一緒に公道を走らせられないF1マシン。そんなものを買っていったいどーするのか?っていうか、F1マシンっていくらで買えるの?趣味が高じて、F1マシンを手に入れてしまった人々に、F1マシンを買うことの意味を問うてみました!
ティレルクラス

ティレルクラス お値段:3000万円前後 年間維持費:数百万円?

MJブロンディ=文 Text by Shmizu Souichi 池之平昌信=撮影 Photographs by Ikenohira Masanobu ◆究極の自動車趣味F1マシンを買ってみたらこうなった!【後編】 ⇒【前編】はコチラ  やはり中嶋選手が乗っていたロータス・ジャッドを6年前に購入した笹本健次氏(オートカージャパン編集長)は言う。 「フェラーリのスペシャルモデルがすごいって言ったって、所詮市販車ですから。F1マシンとは比較にならない。アクセル全開時のあの加速、ブレーキ、コーナリング、すべてが異次元です。一度F1に乗っちゃうと、他のクルマには乗れませんよ」  8000万円のエンツォ・フェラーリまで購入した笹本氏の言葉だけに、真に迫っている。しかもF1マシンは、思ったより安上がりだという。 笹本氏「僕のロータスは2000万円強。エンツォよりだいぶ安い。それにF1マシンは値下がりしません」  事情通氏によると、一般人が所有してなんとか走らせることができるのは、’89年から’91年にかけてのカスタマーエンジン(コスワースDFRやジャッド)搭載モデルに限られる。その中でも、ヒストリーのあるティレルやロータスなどの“竹クラス”は、お値段3000万円前後。ミナルディやレイトンハウスなど“梅クラス”なら、1000万円くらいが相場だとか。  頂点の“松クラス”は、フェラーリやマクラーレンなどの超名門チームのマシンだが、個人で所有できるのはフェラーリだけだ。 事情通「フェラーリは“F1クリエンティ(顧客)”という個人所有システムを作って、うまくビジネスにしているが、マクラーレンは門外不出。過去のF1マシンを売り出すことはないんだよね」  唯一買えるフェラーリにしても、エンジンをかけるだけで本家の専門チームが必要なので、価格も維持費も数倍に跳ね上がる。それでもフェラーリに取りつかれた超富裕層は、その真髄を味わうため、最後はフェラーリF1マシンを買うというのが、実は定番コースなのだ!  先日行われた鈴鹿サーキットファン感謝デーで、榎本氏は、自身のティレルを中嶋悟氏にドライブしてもらうことができた。ピットに並べた時点で、熱心なファンがカメラの放列を作り、「ティレルが日本に来た!」、「すげえ!」と大絶賛を浴びた。中嶋さんにも「うれしかったよ、ありがとう」と声をかけてもらえた。 榎本氏「F1マシンを買って、中嶋さんにも乗ってもらえて、人生の夢はすべて果たしました。今後も中嶋さんに乗ってもらえるよう、自分で乗るのはもうやめようかと思います。壊しちゃうといけないですからウフフフフ~」 【結論】 下ばかり見て、クルマなんざいらない、電車やレンタカーで十分と思うのもわかりますが、上には上で、クルマ界には大変高貴で美しい世界が存在しております。下を見るな上を見ろ! 気分で景気を上げて行こうぜ!
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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