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30代の「皮脂の酸化」はかなり臭い

夏場にいや応なしに気になってしまうのが、体臭の存在。もちろん周囲の匂いも気になるが、同時に自分も誰かの脅威になっている可能性も忘れてはいけない。汗・皮脂や衣服、さらには新たな要因まで……。この時期の“見えない敵”に打ち勝つ方法とは? ◆分泌される皮脂の酸化により30代はもっとも“匂う”世代!?
奈良巧氏

奈良巧氏

「まずは、自分の匂いが汗由来なのか脂由来なのかを知りましょう」  と話すのは、加齢臭対策に関する著書を持つ奈良巧氏。そもそも匂いの構造が違えば対処もおのずと変わってくる。 「汗由来の匂いは、汗をかいて角質と混ざり菌に分解されることで発生します。あの酸っぱい匂いには銀イオンを使った制汗剤が有効です。汗腺が多い、ワキや股、足などをしっかり洗うことですよね。20代までの体臭の原因はこちらが中心なことが多いです」  一方、30代以上は汗以外に気をつけなければいけないのが、脂由来の匂いだとか。 「30~40代は一番皮脂が出る時期なんです。30代だと単に脂っぽい匂いですが、その皮脂が酸化すると、加齢臭の古いポマードのような匂いがしてくる。加齢とともに匂いは悪質になっていきますから、今はまだあまり匂っていないからといって安心はできません」  加齢臭の対策は、まずは体をしっかり洗うことだが、より効果的な方法があるという。 「加齢臭に効く成分としてはポリフェノールがあります。ポリフェノールは抗酸化作用があり、皮膚に残ると皮脂の酸化を防いでくれます。なかでも、体を洗うときは『柿渋石鹸』が一番いい。加齢臭の原因となる酸化した皮脂ノネナールは、柿渋成分なしの石鹸だと33.1%しか減少しませんが、柿渋入りだと96.6%と劇的に改善するんです」  驚くべき効果が出ているのだから、皮脂が多い30代以降は使わない手はないはずだ。 「あとは、お風呂から出たらすぐ保湿剤を使うべきですね。石鹸で皮脂を洗い流すと肌は“乾燥して危機的状況である”と勘違いして余計に皮脂を出すんです。それからお風呂に入る時間帯もかなり重要。よく石鹸で洗ったとしても、おおよそ12時間後には匂い始めます。つまり夜にお風呂に入っている人は、翌日昼ぐらいには、もう匂っている可能性がある。なるべくお風呂には朝に入ったほうがいいですね」  汗由来の匂いには銀イオン含有の制汗剤をこまめに使用、皮脂が多いなら柿渋石鹸で。適材適所の対策を怠るなかれ! ◆体内に点在する体臭発生の“危険スポット”を重点的に対処! 臭い<胸>見落としがちな匂いの危険地帯 意外に無頓着になってしまうのが、胸のあたり。「シャツのなかで一番脂っぽい匂いがするのが胸の部分。ここも加齢臭がする原因になりやすいです。なので、胸部もしっかり柿渋石鹸で洗うようにしましょう」(奈良氏) <髪>不快な匂いを溜め込む場合も 髪の毛自体は特に加齢臭の原因になるわけではないが、頭皮に皮脂が出て汚れていると髪にも匂いがつきがち。また、生乾きのままだと髪の毛に外気がそのまま吸着してしまう恐れもあるので、洗髪後はすぐにドライヤーで乾かしたい <頭皮>毛根からは常時、大量の皮脂が分泌 体内でもっとも皮脂の分泌が多いのは、実は頭皮。枕が臭くなるのもこれが理由。専用の洗浄ブラシを使って皮脂を落とそう。対策としては石鹸で洗うという方法も有効だが、体質によってはフケが多くなることもあるので要注意 <Tゾーン>額~鼻にかけては皮脂が大量に分泌 顔では、額から鼻にかけてのTゾーンは特に皮脂が分泌されやすい。なかでも鼻まわりの匂いは自分では気がつきにくい。毎朝きちんと洗顔を行い、外出時には汗拭きシートを使うのが効果的。頬から顎のラインのUゾーンにも注意 <首すじ>他人の鼻の位置に近いため細心の注意を 頭皮に加えて、首すじから首全体も加齢臭がしやすい要チェックな場所。「皮脂が多く出るにもかかわらず、特に耳の後ろは洗い忘れがち。首まわりは、他人の鼻の位置に近いので、自然と匂いやすいと思われていますね」(奈良氏) <ワキ>分泌量が多いため強烈な匂いを発生 夏場に匂いやすいのがワキ。ご存じのとおり、汗由来の成分が多く酸っぱい匂いがするのがワキガ。角質と菌が分解されて出るので朝出る前にシャワーを浴びたり、汗拭きシート、銀イオンの制汗剤でこまめにケアをするべし <背中>背骨の際には汚れがたまりやすい あまり知られていないのが、背中の中央部分。なかなか手が届かないので汚れが落ちにくく、そのままになっている人が多いとか。特に真ん中に皮脂が溜まりやすいという。背骨の筋に沿って丁寧に洗ってあげるのがポイント <足>皮脂は少ないが発汗量は相当に そもそも足の裏には皮脂腺があまりなく、皮脂はあまり出ない。足の裏や、かかとが硬くなるのも皮脂が少ないのが原因だ。しかし、汗の分泌は年齢を問わず非常に多いので注意が必要。爪をこまめに切ることも足臭対策には有効だ 【奈良 巧氏】 ’58年生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。退職後は週刊誌、月刊誌のフリー記者として活動。著書に『加齢臭読本いくつになっても、におわない人の習慣』(草思社)がある イラスト/森宏 ― [サラリーマンが臭い!]傾向と対策【3】 ―
加齢臭読本 いくつになっても、におわない人の習慣

簡単だけど効果バツグン。ニオイの不安とサヨウナラ。「自分の加齢臭」と闘ってきた著者が、効果のあった“におわなくなる技術”を紹介

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