「中国ではお上の気分次第で逮捕される」中国人漫画家が告発
「中国を愛しているからこそ、そして自由な民主国家になってほしいからこそ、この漫画を描いた」。中国在住の漫画家が“憂国のエッセイ漫画”を上梓。なぜ危険を冒してまでこの漫画を描いたのか。来日中の本人を直撃した
◆中国は人治国家。お上の気分次第で逮捕される
言論統制の敷かれている中国の漫画家が、日本の出版社を通して自国の絶望的な内情をエッセイ漫画で描いた――。『中国のヤバい正体』(大洋図書刊)は、そんなにわかには信じがたい本だ。著者の孫向文氏(筆名・30歳)は浙江省の杭州で暮らす生粋の中国人。幼い頃に『聖闘士星矢』に熱中したことから漫画家を目指し、20代半ばに中国本土で漫画家デビューした。今回、出版に合わせて来日しているという話を聞き、インタビューが実現した。日本には何度も来ているとあって、孫氏の日本語は驚くほど流暢。開口一番、「親が心配です」と口にした……。
「この本のことは両親にも隠しています。もし言ったら、お前だけの問題じゃないだろって怒られます。満門抄斬という言葉がありますが、昔の中国では、誰かが凶悪な罪を犯したら、一族皆殺しされました。今も同じです。ノーベル平和賞受賞の劉暁波さんの奥さんだって軟禁されてるでしょ?」
今の中国は、格差社会や環境汚染、役人の腐敗など問題だらけ。中国政府に不満を持つ者も多いが、それでも人前でヘタなことは言えないと孫氏は脅える。
「その人は反政府の立場でも、家族や周囲には共産党員がいるかもしれません。一般市民を装う共産党のスパイだっています。今は微博(中国版ツイッター)で共産党の悪口を書いたらすぐに削除。携帯のメッセンジャーソフトにはスパイウェアが仕込まれ、会話はネット警察に筒抜け。政府は軍事費以上にネット警察へ人件費を投入していると噂されています。大学生の任建宇さんはブログで反政府記事を書いたら、国家反逆罪で逮捕され、裁判すら受けられずに2年間の労働教育の刑を受けました。中国は人治国家。政府に目をつけられたらすぐに逮捕されるんです」
ブログの文章すらアウト。となると、この漫画はさらにまずい。なのになぜ描いたのか。
「今の日本には中国政府の言葉しか伝わっていません。それは中国人の思いとは違う。僕は中国人の本音、本当の苦しさを日本の皆さんに伝えたかった。そして中国が変わってほしいと思ったんです」
まさに命がけのメッセージだ。
⇒【次回】『「中国では貧乏人は諦めて毒を食うしか無い」中国人漫画家決死の告発』へ続く https://nikkan-spa.jp/491573
【孫向文氏】
中華人民共和国浙江省杭州市出身の30歳。漢族。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、漫画やネットで日本語を学び、日本の某漫画賞にも応募して受賞する。趣味は海外旅行とヒップホップ
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