雑学

相次ぐ屋上遊園地の閉鎖…デパートの屋上は今後どうなるのか?

上野松坂屋

3月11日に閉鎖となる上野松坂屋の屋上遊園地

 デパートの屋上遊園地がいま、その姿を消しつつあることをご存知だろうか? 3月2日、観覧車も擁した東急プラザ蒲田の屋上遊園地が閉鎖。そして3月11日には上野松坂屋の屋上遊園地も閉鎖となり、都内近郊では京王百貨店新宿店、東急百貨店吉祥寺店の2店舗を残すのみとなる。

 レジャーの多様化により、もはや「子どもをデパートの屋上で遊ばせる」ということ自体、需要がなくなってきているのかもしれない。しかし、昭和を生きた世代にとっては、懐かしの風景が消え行くことに対して、センチメンタルな想いを抱かずにはいられないだろう。デパートの屋上遊園地はこのまま消えてしまう運命なのだろうか?

◆閉鎖理由は建物の建て替えやリニューアル

 主な閉鎖理由は、「人が来ない」ではない。東急プラザ蒲田では、今年秋のリニューアルオープンに向けて、フロア単位での休館が始まる。屋上遊園地もリニューアルにあたって閉鎖となった。リニューアル後に復活するかどうか、現時点では未定となっている。2月28日に屋上遊園地が閉鎖した阪神梅田本店も、新阪急ビルと一体化する建て替えのためだ。

 3月11日に屋上遊園地が閉鎖する上野松坂屋も、南館自体が同3月に閉館、建て替えが行われるため。上野松坂屋の新南館にはパルコ、TOHOシネマズ、さらに上層階にオフィスフロアも備えた地上22階建ての高層複合ビルに生まれ変わる。ガラリと生まれ変わったあと、屋上遊園地の代わりとなるような、開放的なくつろぎ空間は作られるのだろうか。

⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/601501/unmroof_1

◆屋上遊園地の最期

 閉鎖がアナウンスされると、通常よりも来園者数は増える。先日閉鎖された東急プラザ蒲田は、そのシンボルとなっていた観覧車を閉鎖日までの1週間無料開放しており、別れを惜しむ年配の方、「こんな所に観覧車があったのか」と物珍しさに訪れる若者、近所の子連れのお母さんで賑わっていた。

 一方、上野松坂屋では特に閉鎖にあたってセレモニーなどは行うといった予定はなく、粛々と「あと●日」といったカウントダウンと共に、通常営業が行われていた。取材時には、両替機内部にドライヤーをあて、ほこりを除去するメンテナンスを行う作業が印象的であった。また、交流ノートには閉鎖を惜しむ来園者の書き込みも。

◆屋上遊園地は消えてしまうのか?

 建物の老朽化や、百貨店自体に変化が求められている流れで、屋上遊園地がなくなっていくのは必然かもしれない。しかし、現役で屋上遊園地を営業している店舗からは、まだまだ存在意義を十分に感じられた。

 新宿駅西口に直結した京王百貨店新宿店では、子ども向けの遊具に加え、園芸ショップも備えている。開店の翌年1965年に屋上遊園地がオープンした後、2005年のリニューアルで広大なウッドデッキが登場して規模は縮小したものの、現在でも多くの遊具を備えている。

 同店広報は、「私どもの店舗には、50代・60代といったお客様が多いため、お孫さんと屋上に訪れる方もいらっしゃいます。遊戯施設があることで、足を運んで頂けているとも思っています」と、屋上遊園地の存在意義を強調し、「売り場の改装によって、閉鎖される可能性もありますが、現時点では閉鎖となる計画はありません」と語っていた。実際、屋上に足を運んでみると、祖父母・娘・孫といった4人組の姿が多くみられた。

⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/601501/keiosky_1

 東急百貨店吉祥寺店の屋上遊園地は、レールに沿って動く機関車トーマスの乗り物を中心に、テーブルとイスなども多い、ゆったりとした空間となっている。

 同店広報は、「郊外店なので、家族連れの方が多くいらっしゃいます。また、平日も幼稚園のお迎え帰りに、お母さん同士がテーブルに座ってゆっくりお喋りしていることも多いです」と語っていた。無料で遊べる遊具もあるため、日常的に利用されることが多いようだ。

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 京王百貨店新宿店が「駅前でこれだけ開放的な場所はありません」(広報)と語っていたように、屋上自体の魅力は広い世代に受け入れられている。家族連れだけでなく、サラリーマンの休憩場所としても屋上は大人気なのだ。

 しかし、建物と共に遊戯施設自体の老朽化も進んでいる。いずれの店舗でも「お子様の安全」を強調していたが、施設のメンテナンスだけではいずれ限界を迎えてしまう。少子化が進むいま、屋上遊園地単体の存続はやはり難しいのかもしれない。 <取材・文・撮影/林健太>




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