としまえん閉園。デート、子守り、アルバイト…それぞれの想い
西武グループが運営する「としまえん」が閉園することになった。跡地には新たに映画『ハリー・ポッター』のテーマパークが2023年春をめどにオープンすることになり、今年以降段階的に、プール・庭の湯・遊園地などが閉鎖予定である。
100周年を手前に発表されたとしまえんの閉園。練馬区民のみならず、東京都を代表するテーマパークだけにショックを受けた人も多いだろう。家族や恋人と、友達と。また、小さい頃の思い出として、このニュースを感慨深く捉えている人もいるはずだ。そこで、としまえんでのエピソードと閉園に対する気持ちを聞いた。
練馬区にある氷川台からずーっと続く石神井川沿いの綺麗な桜並木。それを眺めながら自転車を漕いでいたらとしまえんに着いた……としまえんとの出会いをこう話すのは、吉田恵子さん(仮名・32歳)。彼女は学生時代、スタッフとして働いていた経験がある。
「その景色が忘れられず、としまえんで働きたいと思いました。決めたら行動に移すのに躊躇しない性格なので、としまえんの中にある『庭の湯』というリラクゼーション施設に応募。学生時代はそこでアルバイトをしていました」
庭の湯は、天然温泉をはじめ、サウナ、お食事処などが充実した施設だ。夏になるととしまえんのプール帰りに若者たちが庭の湯に流れてくることも多く、とにかく働くことが楽しかったという。
「私が特に印象に残っている仕事は、プールゾーンでラブラブしているカップルがいると、『過度な密着はご遠慮ください』と声をかけることでした(笑)」
デートスポットでも有名なとしまえん。アルバイトスタッフの意外な仕事内容に吉田さんは思い出し笑いする。
としまえんで働く人たちにとっても、閉園の衝撃は大きいはずだ。学生のアルバイトスタッフにとっては、青春の思い出エピソードとして心に刻まれているに違いない。
今から約30年前の高校2年生の春休み。初めて付き合った彼氏との初めてのデートがとしまえんだったと話してくれたのは、沢田はるかさん(仮名・40代)。
当時は、今のように携帯もスマホもない時代。としまえんの行き方をはじめ、下調べするところからデートはスタート。
「準備をするところからデートって感じでした。ホントに初々し過ぎて恥ずかしくなります。当日は、お互い最寄駅が違うから待ち合わせは電車の中でした」
しかし、そこで思いもよらない出来事が起きた。彼が電車に乗り遅れてしまい、行き違ってしまったのだ。もちろん、スマホなんてないから連絡も取れない状況に……。
「でも、その時代は、そういう時代なりに危機管理はできているわけです。次の駅で降りて、乗ってくる電車を待って、なんとか無事に合流しました。そして、いざとしまえんに。ジェットコースターに乗って叫んだり、グルグルまわる円盤のような乗り物に乗って彼のメガネが落ちるというアクシデントに見舞われたり、見知らぬ小学生と歩いていくお化け屋敷で脅かし合ったり。マジックハウスの鏡に激突もしました」
その後、2人は夜景を見ながら……という甘い展開にはならなかったというが、その時はただただ楽しくて、一緒にいる空間がキラキラしていたと話す沢田さん。そんな彼女は、今回のとしまえん閉園のニュースをどう感じているのだろうか。
「悲しいかどうかというと、正直特に何も感じていません。でも、今まで入ったどのお化け屋敷よりもとしまえんのライドタイプのお化け屋敷が1番怖くて楽しかった気がします。閉園しても、あの時の楽しかったこと、輝いていた時間は私の中でちゃんと残っていますから」
沢田さんにとっても、としまえんでデートをした経験のある人たちにとっても、永遠にまぶしい思い出として残り続けるはずだ。
元スタッフが回顧する意外な仕事内容「ラブラブのカップルに…」
初めて付き合った彼氏との初デートがとしまえんだった
1
2
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
記事一覧へ
記事一覧へ
【関連キーワードから記事を探す】
「としまえん」閉園報道で入場者増加。思い出の地を再訪に…
としまえん閉園。デート、子守り、アルバイト…それぞれの想い
平嶋夏海、忍野さら、えなこ…美女が水着で大集結「ビジュアルクイーン撮影会inとしまえん2019」フォトレポート
今年も人気グラドル27人がとしまえんに大集結! 猛暑吹き飛ばす水着姿でズラリ
夏だ!プールだ!! 水着美女だ!!! 人気グラドル29人がとしまえんプールに集結
清野とおる×パリッコが語る、飲み歩いて気づいたこと「どこの街にも、キーマンはいる」
漫画家・清野とおる × 酒場ライター・パリッコ 書籍『赤羽以外の「色んな街」を歩いてみた』発売!
メダカすくいに救われた「水道橋」の夜/清野とおる×パリッコ
不動産屋はウソをつく。損しないために知っておきたい3つの“単語”
茨城県が魅力度ランキング最下位脱出!県民に直撃レポートしてみた
絶滅危機…国内わずか6ヶ所「デパートの屋上遊園地」が“名古屋で復活”のワケ。レトロ遊具も再登場
“銀歯”も買い取るブックオフに聞いた「意外な買い取り商品」5選
CDではなく“カセットテープ”でデビュー。女子大生シンガーの昭和愛
「日ペンの美子ちゃん」に大先輩がいた!? その名は「養命酒のメイ子ちゃん」!
「女子高生の頃から使い続けて35年」テレクラ主婦の“テレクラ愛”を聞いた
かつて家庭の中心だったビデオテープが、もう再生できなくなる…“家に眠っている思い出”をどうすべき?
「タバコの煙が充満するバス」「選手の住所が載っていた選手名鑑」…今では考えられない昭和プロ野球の“常識”
「文化遺産」として見直される昭和の都電。「アニメの聖地」や「渋沢ゆかりの地」などに残る都電の今を追う
はるな愛、ショーパブで働く女性たちにエール「昔の自分を思い出します」
食を愛するデブが「昭和っぽさが魅力の大衆酒場」にハマってしまう理由
この記者は、他にもこんな記事を書いています