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『仕事をEnjoy!』恥ずかしいポエムは人間関係の潤滑油?

夢、仲間、絆、希望、笑顔、理想の自分――。ブラック企業に限らず、“ポエムな言葉”が盛り込まれた社歌を歌いながら体操したり、社員に駅前清掃を強要する企業も少なくない。こうした独自の規定を義務づけ、社員の労働意欲を引き出し洗脳しようとする「ポエム化する日本企業」の実態とは?

<ポエム擁護派>
◆会社人間をつくるポエム。人間関係を円滑にする役割も

ポエム化「ポエムで、社員の目的意識は確実に向上しています」とポエムを評価するのは、学習塾で新人教育や事務を担当する小川兼一さん(仮名・30代後半)だ。入社すると「社長のコトバ」が書かれた冊子が渡され、一日1回熟読するという。

「社長のコトバには『仕事をEnjoy!』や『カオスな秩序』などのポエム風のものから『巧遅は拙速に如かず』という格言までありますね。毎週の全体ミーティングでは、指名された社員が社長のコトバから感化されたものを選んで10分間スピーチもするんです」

 何とも香ばしい社長のコトバだが、職場の人間関係を円滑にする潤滑油にもなっているという。

「『仕事をEnjoy!』というコトバのおかげで競争意識もなく、一体感が出て職場の居心地はいい。毎年開催する社員バーベキュー大会の出席率も高いし、みんな家族ぐるみの付き合いをしてますよ」

 ただし小川さんは「ポエムは、会社にとって都合のいい人間をつくるための枠組みにすぎない」と冷静に分析もしている。

「例えば『カオスな秩序』は、上下関係はあるけど必ずしも上司の判断を仰ぐ必要はなく、自分で決断できる自由さを表しています。末端の社員にも裁量権が与えられているともいえますが、上司としては管理しづらい。『巧遅は拙速に如かず』は、ロクな研修もせずに新人を現場に出すから、自分で試行錯誤しろということ。『仕事をEnjoy!』は、残業代でとやかく言うなということですよ」

 ウラの意味を邪推しながらも、小川さんはそれでも経営におけるポエムの効果を認めているようだ。

●小川兼一さん(仮名)
大学卒業後、学習塾に就職。現在は事務や教室運営業務全般を担当する。毎年、新入社員や中途採用者など20~30人の教育として役研修も行う。社内のポエム化に関しては、社員のモチベーションアップや職場の人間関係向上に役立つと肯定的に捉えている

― [ポエム化する日本企業]急増中【5】 ―




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