鈴木都議の事後対応はヘタすぎた?弁護士が読み解くセクハラ野次問題
不祥事を起こした際、重要なのはその後いかに事態を収束させるかだ。そんな「不祥事・危機対応」に関して、多くの企業などから相談を受ける長谷川裕雅弁護士が、世間を騒がすスキャンダルの数々を「危機対応力」という面から読み解く――。
【第一回 都議会セクハラ野次問題】
東京都議会のセクハラ野次問題で、都議会自民党の鈴木章浩議員が「早く結婚したほうがいい」と発言したことを認めました。当初は否定していたようですが、「『産めないのか』というヤジと一緒に報道されるなかで、謝罪の機会を逸してしまった」と発言。要するに「全部を認めたわけではない」という論法をとったわけですね。
鈴木氏の発言の当否は別として、彼は立場上、あっさりと認めるわけにはいかないわけです。否定する以外に選択肢はないのだから、ついてしまったウソを誤魔化す言い訳としては、こういう説明以外に方法がなかったのだろうと思います。ただ、後で確実にバレるウソをついてはいけないのは当然のことで、声紋鑑定まで持ち出される可能性があったのだから、マスコミに「私ではない」などと発言すべきではなかった。
危機対応の面からいえば、彼はまず、記者からの取材を受けないように振る舞うべきでした。認めざるを得ないかどうかを見極めてから、名乗り出る方法もあったのではないかと、個人的には思います。
ところで議会での野次ですが、鈴木議員も「すべての野次がいけないものだとは思わない」と回答しているように、国・地方を問わずに議会ではつきものとも言えます。
以前、政治家を多数輩出した早稲田大学雄弁会を覗いたことがあるのですが、合宿では新入生に一人ずつ演説をさせ、上級生が野次を雨あられと浴びせます。そのほとんどが演説の内容とは関係のないもので、容姿や外見などを中傷するものもあって、悔しさのあまり涙を流す者も……。政治家を志す者は、打たれ強くなれということなのでしょうか。確かに政治家は職務上、敵対的な相手に対して発言し、説得する必要があります。
今回のようなセクハラまがいの野次を会社で行えば、違法のそしりは免れないでしょう。しかし議会では、議員が保護されない方向で特殊な修正が働くこともあります。ヤジを受けた議員が人権を侵害されたと訴えて保護を求めても、たいていは相手にされないでしょうし、むしろ打たれ弱い議員として信用を失うかもしれない。
今回の野次は特に問題であるとして報道されましたが、誰もが反対意見を言うことができない女性保護というテーマに関する野次であったことが大きな要因です。触らないほうがいいテーマに触ってしまったことが、鈴木議員の失敗です。 <文/長谷川裕雅 構成/日刊SPA!取材班>
■長谷川裕雅(はせがわ・ひろまさ)■
東京弁護士法律事務所代表。朝日新聞記者を経て弁護士に転身。現在は政治家や芸能人のマスコミ対策を想定した不祥事・危機対応や、相続問題などにも取り組む。著書に『磯野家の相続』(すばる舎)、『なぜ酔った女性を口説くのは「非常に危険」なのか?』(プレジデント社)
■長谷川裕雅(はせがわ・ひろまさ)■
東京弁護士法律事務所代表。朝日新聞記者を経て弁護士に転身。現在は政治家や芸能人のマスコミ対策を想定した不祥事・危機対応や、相続問題などにも取り組む。著書に『磯野家の相続』(すばる舎)、『なぜ酔った女性を口説くのは「非常に危険」なのか?』(プレジデント社)
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