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ドラゴンズ谷繁兼任監督の「シンプルな言葉に宿る凄み」

谷繁元信兼任監督

シーズン当初は監督と選手という二足のわらじのリズムがなかなか掴めなかった

 古田敦也氏以来、8年ぶりとなる兼任監督としてドラゴンズの監督に就任した谷繁元信兼任監督。週刊SPA!本誌では今年の3月より、谷繁元信兼任監督のコラムを連載してきた。日本プロ野球史上初となる現役監督の週刊誌連載では、新聞やテレビでは垣間見ることのできなかった、素顔の谷繁元信の本音、組織論、野球論が語られた。

 そんなドラゴンズの成績は、8月までの好調と打って変わり、CS進出を逃し、なんとか4位で今季をフィニッシュした。11月17日発売の週刊SPA!では、谷繁元信兼任監督コラムの今季の連載最後となるスペシャルインタビューを掲載。その中で、監督としての苦労や来季について抱負を語って頂いた。そこで今回はその番外編として、日刊SPA!では地元記者、アナウンサー、谷繁元信兼任監督担当ライターに谷繁ドラゴンズの一年を振り返ってもらった。

<本誌谷繁監督コラム担当ライター編>

 記者アナウンサーに続いて登場するのは本誌で谷繁監督コラムの構成を手がけた、スポーツライターの小島克典氏。小島氏は横浜ベイスターズ(当時)で通訳として活躍。谷繁監督だけではなくハマの大魔神こと佐々木主浩氏など数多くの野球人と交流がある。そんな小島氏が谷繁監督との一年を振り返り、手記を寄せてくれた。

◆野球の師匠・谷繁元信

スポーツライターの小島克典氏

小島克典……週刊SPA!本誌で谷繁元信兼任監督の連載を担当した。41歳バツイチ

 今シーズン、谷繁兼任監督とドラゴンズを追いかけて観戦した試合はオープン戦を含めて55試合。久々に野球漬けの日々を過ごせました。谷繁さんとの出会いは、私が横浜ベイスターズ(当時)に通訳・広報として入社した‘97年の春のキャンプでした。

 入った年は2位、翌年は38年ぶりのリーグ優勝、日本一、次の年も、その翌年も3位……と、あの頃のベイスターズは強かった(笑)。インタビューでも何度か話題に上がった通り、谷繁さんはその前年の‘96年にベイスターズのレギュラー捕手となりました。つまり正捕手・谷繁の定着とともにベイスターズは球団史上唯一の5年連続Aクラス(‘97年から‘01年)を達成したんです。それほど正捕手ってポジションは大切なんですね。

 当時は史上最強の外国人選手として大活躍したボビー・ローズ内野手と一緒に、数え切れないほど食事に連れてってもらいました。ほとんど焼き肉でしたね(笑)。ロッカーでも食事の席でも、会話の大半は野球のこと。通訳だった僕は谷繁さんの言葉をボビーに伝え、ボビーの真意を谷繁さんに訳すことで、野球の知識が豊かになりました。同じように佐々木主浩さんにもたくさん飲みに連れてってもらいましたが、あの人と野球の話をした記憶はほとんどない(笑)。そういった意味で、谷繁さんは僕にとって野球の師匠です。

◆シンプルな言葉に宿る凄み

 キャンプイン直前、ナゴヤ球場の谷繁さんを訪ね、連載開始の挨拶をしました。谷繁さんはいつものようにニコニコ顔で迎えてくれましたが、一言だけ言葉をくれました。「やるんなら、最後までしっかりやれよ!」

 谷繁さんの言葉は、いつもそう。シンプルなんだけど凄みがある。あの一言で、僕は完全にスイッチが入りました。やるからにはしっかりやる。だから26回の連載原稿は、すべて対面インタビューを基に構成しました。ショートメールやLINEを使えばいつでも質問はできますが、それは谷繁さんの言う「しっかりやれ」とは違う気がしたので。

 確かに旧くから知る先輩ではありましたが、インタビューはいつも真剣勝負でしたね。野球に例えるなら、お互いに変化球は投げない。シンプルにストレートの投げ合い。力と力の真っ向勝負のような、肌がヒリとすることも一度や二度ではなかったです。

 谷繁兼任監督の一年目を間近で見せていただけたのは、僕にとって新たな財産。来年も機会をいただけるのなら、谷繁さんの2年目の挑戦を追いかけたい。そしてあと26試合に迫ったプロ野球最多試合出場の日本記録達成の瞬間も、眼に焼き付けたいですね。

【小島克典氏】
1973年神奈川県生まれ。通訳としてオリンピック決勝戦(’96年)、日本シリーズ(’98年)、ワールドシリーズ(’02年)をベンチから経験した圧倒的なキャリアを活かし、2012年に「スポーツカルチャー研究所」を立ち上げる。年間1千本以上のメディアコンテンツを国内各メディアに納めるかたわら、今年は週刊SPA!本誌で谷繁元信兼任監督の連載を担当した。41歳バツイチ

― 谷繁ドラゴンズの一年を振り返る【3】 ―

週刊SPA!11/25号(10/17発売)

表紙の人/柏木由紀

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