「巣鴨の出会い系パーティ」は白髪男女の熱気がムンムン
総務省の最新データによると、58~62歳のシニア世代の人口は1063万4000人、日本の総人口の約1割を占めており、消費や雇用に大きな影響力を持つ。加えての医療の発達。ひと昔前なら社会から緩やかな退場を求められていた年齢層は、草食な30~40代の現役世代を喰う勢いだ。肉食で好色、元気なシニア層の動向を探った!
<出会い系パーティ>
◆ドアを開けるや濃厚チークダンス。熱気ムンムンの会場に女性記者が潜入
“シニアの原宿”巣鴨にあるスナックでシニアの出会い系パーティが開催されていると聞きつけ、店を訪れた記者(30代)。日曜日の正午すぎ。ドアを開けると狭い店内に白髪の男女がぎゅうぎゅう詰めでチークを踊っていた。BGMは参加者の歌う昭和歌謡。凄まじい熱気と酒臭さに目まいを覚えた。
男女比はおおよそ半々。年は60代から80代、なかには90代と思しき人もいる。親と同世代の男女が体を密着させ、恍惚として互いを見つめあっているさまには正直困惑する。
パーティを主催している「S」は、創業13年目。カラオケ、ハイキング、旅行など、さまざまな出会いの場を提供している。
「出会い」とひと言に言っても、どうやら参加者ごとに意識が異なるようで、ある男性(60代)は「本気で再婚相手を探している」と言う。ある女性(50代)は「同窓会みたいな感じ」と言うし、「ただカラオケが歌いたいだけ」と仰る男性(70代)もいた。
会の趣旨に賛同し、ボランティアで参加しているという、心理カウンセラーの女性(60代)は言う。
「孤独になりがちな中高年が、人と触れ合うことで健康になれる社交場。パーティのためにお洒落をしたり、化粧をしたり、外に出かける“緊張感”が大切なのよね~」
なるほど。シニア同士の濃密なチークダンスはいささか受け入れ難いが、同世代で話も合うだろうし、「年々、友達が減っていく」と嘆く記者の母にも、参加するよう勧めるのもいいかもしれない。
……が記者を見るなり、「おっ! べっぴんさん!」と声を掛けてきた男性と話をして思い留まった。
坂本雄二さん(仮名・65歳)。都内で飲食店を経営し、年間貯金額は1000万円。40歳手前で離婚し、一昨年からシニアの出会いの場に参加するようになったという。
「これ“お達者くらぶデビュー”だよな。NHKの番組。知らない?」
’80年代に放送されていた高齢者向け情報番組を引き合いに出すが、ピンとはこない。
三枚目キャラだが、快活で会話もうまい。赤いジャケットを上品に着こなし、社交ダンス歴は15年。愛読誌は『ゲーテ』『LEON』という。さぞかしモテるでしょうと聞いたところ、「シンデレラボーイになりたいんだ」。実は、金持ちの未亡人を引っかけて、二人であちこち旅行している「ヤリチンジジイ」。旅費は全額女性持ちというからホスト顔負けだ。
「旦那に先立たれて、お金の使い方がわからない女性は多いんだよ。俗に言う“遺産成り金”っていうやつ。『坂本さんに使ってもらえて嬉しいわ~』なんて感謝されるから、こっちもマッサージなんかして、ご奉仕してるわけよ。もちろん夜の営みもね(笑)」
この日はパーティ後の二次会で「お持ち帰り」するのだと鼻息荒い。
件の金持ちの未亡人だけでは事足りないのだろうか? ギラつく眼差しにおののき、店を出た……。
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