ライフ

5年後開催の東京オリンピック…今こんなに盛り上がってどうするの?【コラムニスト・木村和久】

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その83 ―

5年後開催の東京オリンピック…今こんなに盛り上がってどうするの? 東京オリンピックは5年先なのに、超盛り上がって大丈夫ですか。皆さん今から息切れしないで下さいね。話題満載の新国立競技場やエンブレム問題に対して、突っ込みを入れようと思ってたら、次から次に新しいニュースが舞い込み、書くタイミングを失ってしまっている今日この頃です。今回はいったん頭を冷やして、冷静かつ沈着に、東京をオリンピックの諸問題を見てたいと思います。  まず客観的に考えて、なんで東京オリンピックは8月のクソ暑い日程でやるんですかね。そこを誰も突っ込まない。久米宏さんがラジオで、暑くて乗馬やったら熱中症になるから、止めろみたいなことを言ってましたが、まさに正論ですよ。  問題の日程は、7月の末から8月の中旬でやるのが望ましいと、IOC側が意見を出してます。だからその日程を飲まないと、招致は出来なかった。ほかの国に持って行かれる可能性が大きかったのです。その日程は、アメリカなどのメジャースポーツのオフシーズンだからというのが、もっともな理由らしい。結局、日本はアメリカの忠実なポチなだから、素直に従ったんでしょう。  乗馬も大変ですが、ゴルフも大変ですよ。気温38度の炎天下、一日外ですから、これがおもてなしですか? 一度、閣僚の方も猛暑日の埼玉ゴルフを体験なさるといい。プレーになりませんから。  日程が決まっているなら仕方ない。次に問題なのは新国立競技場のやり直し問題だ。予算の出し方が実に不可解で、政治家と官僚の権力闘争にしか見えないんですけど。東海道新幹線を作る時、莫大な費用がかかるからって、安く見積もりを出して、プロジェクトを推進し、後でごめんなさいをしたのは有名な話です。今回も国民が納得する予算を出しておいて、後でごめんなさいすりゃ、良かっただけの話じゃん。  そもそも建設予算が2100億円から3000億円の振れ幅があるってなんですか。じゃ中を取って2520億円の予算を出したら、それでも高すぎるってケチついたわけでしょ。
木村和久

木村和久

 あまりにも予算がザル過ぎる。オリンピックを運営する側の意思の疎通が出来てないし、一丸となって、難局を乗り切ろう感が全くない。予算&責任のたらい回しといえば黒澤明監督の映画「生きる」が有名です。志村喬が胃がんで死ぬ運命のときに、地区の公園建設にひとり孤軍奮闘するんだけど、その時の誰も最初は公園建設なんてとりあってくれずに、たらい回しにされる。あれから何年経ってるんだよ、全く変わってないじゃん。もう一回「生きる」でも見て、人生を見つめなおしましょう。  さていよいよ最後はエンブレム問題。これは盗作問題で忙しくなり、本来のデザインの評価ってのを全然していないのが笑えます。  佐野さんのデザインは、完成度は高いと思いますが、オリンピックのデザインとしては、どうかなと思いますね。あくまで個人的な感想ですが、あれは動きがない。あのデザインは、どこぞの美術展のポスターに向いている。例えば金沢で行われる「安土桃山、ポストモダン展」とか、そういう類の企画のデザインとして秀逸です。  この盗作騒動により、森元総理などは、デザインにケチつける前に、佐野さんのデザインを守る立場になってしまった。だって国立競技場問題でやり直しをして、エンブレムでやり直しをしたら、自分の立場がないでしょう。それ以前に国家として、2回のキャンセルは恥じゃないですか。だからいまいち佐野さんのデザインが気に入らない人々も、デザインを守らざるをえない。これって豊臣恩顧の大名の福島正則が、関ヶ原の合戦の時、なんでオレ徳川側についてんだろうぐらいの気分じゃないですか。  最近、佐野さんは飲料メーカーの企画もののバッグを、一部取り下げました。ネットでパクリ疑惑を指摘されて、耐えられなくなったんですかね。今後の展開が見ものです。現在エンブレムが話題先行、負けるな新国立競技場って感じですか。まだ5年先ですよ、関係各位の皆様、ネタ切れせずに話題をどんどん作って下さいな。 ■木村和久(きむらかずひさ)■ トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
おすすめ記事