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女性は男性より放射線の影響を受けやすい!?

【「原発いらない」と女たちが経産省前で座り込み】
座り込み

10月29日「福島の女たち100人座り込み」のメンバーと支援者らが、毛糸で編んだ「鎖」で経産省の周囲約900mを取り囲み、「脱原発」を訴えた

10月27~29日、福島の女たちが放射能汚染の現状と原発停止を訴えて経産省前で座り込みを行った。それを引き続き、全国の母親を中心とした市民グループが、11月5日まで経産省前でアピールを行った。11月1日にはNPO「グリーン・アクション」のアイリーン・美緒子・スミス氏が「女性は男性よりも被爆の影響を受けやすい」というデータを会見で発表した。 ◆女は男よりも放射能のリスクが40~50%高い!? 「女性は男性に比べて、放射線を浴びることにより発癌率と死亡率が著しく高いということがわかったのです」 11月1日、経産省前で衝撃的な発表をしたのは、アイリーン・美緒子・スミスさん。米国科学アカデミー(NAS)の埋もれていた報告書を発見したのだという。 「’06年、NAS出版局が出した『電離放射性物質の生物学的影響(BEIRⅦ)』に、低レベル放射線被曝による女性への健康リスクの調査報告があったのです」(アイリーンさん)  その調査報告は、低レベル放射線の影響が、人の発癌率と死亡率にどのような影響を与えるかというものだ。 「それによると、18~64歳まで年間100ミリラド(=1ミリシーベルト。米国原子力規制委員会の定めた一般市民の被曝限度量)を被曝し続けた場合、男性の場合の発癌率は10万人のうち621人(161人に1人)、死亡率は10万人のうち332人(302人に1人)。一方、女性の発癌率は10万人のうち1019人(98人に1人)、死亡率は10万人のうち497人(201人に1人)。女性の発癌率は男性より60%、死亡率は50%高いのです」(同) さらに、年間被曝量1ラド(=10ミリシーベルト)の場合のデータも報告されている。 「女性の発癌率は10万人に4295人(23人に1人)、死亡率は10万人のうち2389人(42人に1人)。いずれも男性より40%高い確率ですが、そもそも放射能の健康リスク規制は、ほかの有害物質などと比べて基準が高すぎる。米国環境省は、超大型産業用地での環境汚染物質による発癌率を100万人に1人、あるいは例外として1万人に1人まで除去することを目指しているのですから」(同) 「それはまだよくわかっていません。放射線に対して感受性が強い生殖組織が、男性よりも大きいことなどが考えられます。危険性が高いことがわかっているなら、原因究明はその後。予防措置を講じるほうが先だと思います」(同) 「子供が放射線の影響を受けやすい」ということは一般的に知られているが、「男性よりも女性のほうが放射線の影響を受けやすい」ということは、これまで語られてこなかった。 「ところが、原発推進の方針や、規制値を決めているのは男性が中心。会見や交渉の場に出てくる行政や東京電力の担当者も男性ばかり。バランスが悪すぎます」(同) 資源エネルギー庁に聞くと、「職員は460人、うち女性は70人で全体の15%。課長級以上の管理職は58人いるが、女性はゼロ」とのこと。原子力安全・保安院は「454人の職員のうち2割が女性」で、課長級以上の割合については回答を得られなかった。 ⇒「放射能から子供を守れ! 各地で起こる“女たちの革命”」に続く https://nikkan-spa.jp/94869 取材・文/北村土龍 撮影/田中裕司
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