ビンスと“テレビ王”テッド・ターナーの暗闘――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第88回
1989年は、日本の年号では平成元年である。この年の1月7日に昭和天皇が崩御し、皇太子明仁親王が新天皇に即位。翌8日、新元号“平成”が施行された。アメリカでは前年1988年の大統領選に当選した“パパ”ブッシュが1月20日、第41代大統領に就任した。
レスリング・シーンでは1988年11月に“テレビ王”テッド・ターナー・グループのTBS(ターナー・ブロードキャスティング・システムズ=ケーブルTV)がNWAクロケット・プロを900万ドル(推定)で買収し、同12月1日付で新団体WCW(ワールド・チャンピオンシップ・レスリング)が誕生。1989年はWWEとWCWのメジャー2団体時代の“元年”となった。
テッド・ターナーはNWAクロケット・プロを買収後、ビンス・マクマホンに電話をかけ「私もラスリン・ビジネスのオーナーになった」と伝えた。ラスリンRasslin’とはレスリングという単語の南部なまりの発音がそのままスラングになったもので、ショービジネス化されたレスリングといったニュアンスがある。ターナーからビンスへの電話は、アトランタの億万長者からニューヨーカーのビンスへの“警告”だった。
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