“ステロイド共同謀議”ビンス在宅起訴――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第146回
ビンス・マクマホンとタイタン・スポーツ社(WWEの親会社=当時)を被告とした“ステロイド裁判”で米司法省が用意した“証人Ⅹ”は、なんとハルク・ホーガンだった。
1993年11月18日、米司法省は①アナボリック・ステロイドの販売・流通とその共同謀議②販売・流通を目的としたステロイドの不法所持と指定薬物取締法違反の容疑でビンスとタイタン・スポーツ社を在宅起訴した。
“共同謀議”とは、ビンスとビンスが社長をつとめるタイタン・スポーツ社による謀議、つまり会社ぐるみの犯罪の可能性を示唆していた。
タイタン・スポーツ社に対する起訴状には“罰金50万ドル、自社ビル(タイタン・タワー=推定資産価値950万ドル)の土地、建物、固定資産の没収”と記されていた。
検察当局は罪状をより具体化するため、犯罪がおこなわれたとされる期間を1988年3月から1989年10月までの20カ月間に限定。さらに1988年に施行された“ドラッグ・フォーフェチャー・アクト(指定薬物没収法)”を適用し、“犯罪現場”となった自社ビルの接収を訴状にもり込んでいた。
1994年5月(その後、同年7月に変更)に開廷が予定される公判の争点はあくまでも販売・流通を目的としたステロイドの不法所持とその共同謀議で、ステロイドの個人使用そのものについては罪状には含まれなかった。
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