“ブレット暴走”というシミュレーション――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第143回
“サマースラム93”は登場人物もストーリーラインも異なるふたつの長編ドラマが同時進行し、ふたりの主役がまったくちがった方向性のラストシーンを演じた不思議なイベントだった(1993年8月30日=ミシガン州オーバーンヒルズ、ザ・パレス)。
ふたつのドラマのそれぞれの主役は“ヒットマン”ブレット・ハートとレックス・ルーガー。ブレットはジェリー“ザ・キング”ローラーとの因縁ドラマの完全決着戦にのぞみ、ビンス・マクマホンが“ポスト・ホーガン体制”のキーパーソンに指名したルーガーはヨコヅナが保持するWWE世界ヘビー級選手権に挑んだ。
全9試合中、第5試合にラインナップされたブレット対ローラーのシングルマッチは、試合開始直前になってローラーがヒザの“負傷”を理由に試合出場をキャンセル。ローラーの代打としてドインクがブレットとシングルマッチで対戦したが、この試合は十八番シャープシューターでブレットが完勝した。
試合終了と同時にローラーがリング内に乱入しブレットに襲いかかったが、ここでフランク・タニーWWE会長がローラーに試合出場を命令。“予定外”のボーナス・トラックとしてブレット対ローラーのシングルマッチがラインアップされた。
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