日本の「酒と酔っ払いに対する寛容度」は世界でも屈指!? 異次元すぎる世界の飲酒文化
妻と共に世界中を旅しながら飲み歩きを続けた世界のマイナー酒研究家・松本祐貴さん。これまで訪れた国は41か国。国によってまったく違うという世界の飲酒文化について聞いてみた。
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松本:いや、路上で飲むのは違法なんです。だから酒屋が店の一角で酒を出す、日本でいう「角打ち」のような場所で1袋だけ飲んで帰る。道ばたで飲んでいい国って、実は珍しいんですよ。あと、家の外で酔っ払うことがマナーの悪い恥ずかしいこととされてる国も多い。そこも日本との違いです。日本の酒と酔っ払いに対する寛容度合いは世界でも屈指といえます。そのぶん他のドラッグには厳しいですけどね。酔っ払った人がたくさん乗ってアルコール臭い都内の終電に海外の人が乗ったら、衝撃を受けると思いますよ。
――つまり日本とは酒に対する意識が違う国がほとんどなんですね。
松本:そもそも飲酒自体が禁止されている国も結構あります。イスラム圏だとイランやUAEなど宗教に信仰の厚い国だと街でも外資系のホテル以外、酒が売られていない。インドも州や地域によっては禁止ですね。ヒンドゥー教も酒を飲むのはよくないことだとされている。
――それは日本でいう麻薬のような扱いなんですか?
松本:私も最初はそうかなって思ってたんですけど、現地で聞いてみると、日本の麻薬に対する取締りよりは、厳しくないことがわかった。たとえばインドで仲良くなった現地人と話してるとインド人の90%以上は酒を飲んでるって言うんです。おおっぴらに飲むのはダメだけど、家のなかでもこっそり飲んでるぶんにはお咎めがないんです。
――州や地域によって違うというのはどういうことですか?
松本:州によって規制の度合いが違うんです。基本的には田舎に行けば行くほど厳しくなる。インドだと、南部の大きな街へ行くと飲み屋がある。掘っ立て小屋の前にビールメーカーの看板が出てるので、たぶんここに入ったら飲めるなっていうのはかろうじてわかるんですけど、入り口が非常にわかりにくい。イメージとしては日本の風俗店に近いですね。法的にはOK。でも人々に、どこかうしろめたいという意識があるんでしょうね。薄暗い店内でプラスチックの椅子に腰掛けて現地の若者がウイスキーをがぶ飲みしてへべれけになってる。インドの若い人たちのあいだでは、飲酒が文化として根付きつつある。
――向こうでは、酒よりも大麻のほうが手に入りやすく規制もゆるいですよね?
松本:やっぱり禁止されてると飲みたくなるんでしょうね。だから他のドラッグはあるけど、あえて酒を飲む。ただどの国も禁止されてるといっても、捕まってもそこまで重罪じゃない国がほとんどです。だからほんと日本の風俗のグレーな感じに存在自体も近いっていうか。アフリカの国々にもそういった飲み屋が街に結構ありましたね。
――国によって飲酒文化ってちがうものなんですか?
松本:その国で作られる酒の種類によって文化も変わります。たとえばウイスキーとかテキーラなどの蒸留酒は、食事と一緒に飲まないですからね。あと、食事をしながら酒を飲むって、実は先進国特有の文化なんです。コース料理と一緒にワインを飲みましょうっていうのがヨーロッパや米国。アジアでは食事をしながらワイワイ飲みますが、それ以外のほとんどの国では酒と食事は別なんです。
――そういった食事以外で飲む国ではどんな飲み屋があるんですか?
松本:基本はバーですね。でも日本人が想像するおしゃれなバーとは違って、立ち飲み屋に近い感じの場所です。ボリビアとかペルーとか、貧しい国ほどそういったスタイルになるんです。
――特に変わったお酒ってありましたか?
松本:たとえばこれ、見た目は点滴みたいですが、タンザニアのお酒なんです。どこの売店でも売られているメジャーな酒で、ふたを切ってチューチュー吸って飲んでる。
――袋入り! ジンフレーバーって書いてありますね。タンザニアでは瓶より、こちらが多いんですか?
松本:もちろん瓶もあるんですけど少し高い。もっとリーズナブルにして手軽に庶民が楽しめる価格にしたのがこれですね。海外でよくたばこを1本売りしているのと同じ感覚ですね。袋入りは、もう少し大きなサイズもあって、選べるようになっている。日本でいうカップ酒みたいなものですね。
――携帯用っぽく見えますが、そういった酒を路上でチューチュー吸ってるんですか。
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