更新日:2017年11月16日 20:50
お金

健太、お前はただのノーマルカモ ――連続投資小説「おかねのかみさま」

みなさまこんにゃちは大川です。 『おかねのかみさま』52回めです。 きょうも六本木SLOW PLAYで書いてます。 ※⇒前回「情弱」 〈登場人物紹介〉 健太(健) 平凡な大学生。神様に師事しながら世界の仕組みを学んでいる 神様(神) お金の世界の法則と矛盾に精通。B級グルメへの造詣も深い 死神(死) 浮き沈みの激しくなった人間のそばに現れる。謙虚かつ無邪気 美琴(美) 普通の幸せに憧れるAラン女子大生。死神の出現に不安を募らせる 村田(村) 健太が師と崇めるノウサギ経済大学の先輩。元出版社勤務 ママ(マ) 蒲田のスナック「座礁」のママ。直球な物言いが信条 学長(学) 名前の由来は「学長になってもおかしくない歳のオッサン」の略 〈第52回 こんなとこ〉 蒲田 スナック座礁 「いくら?」 「ご…」 「ご?」 「ごじゅうまんえん…」 「!!!」 「あらやだ。けんたくんそんなにお金もってたの?」 「いえ…ローンにしてもらいました。すっごくカワイイ子がこーーーんな近くで、甘あぁい匂いがほわ~ってなるくらいの距離で勧めてくれたんで、その、つい…」 「ローンなら払えるじゃろ」 「は、はい。毎月15,000円なのでなんとか払えるんですが、よりによってそのプログラムで損しちゃいまして…なんていうんですか、えーと証拠金を追加しなくちゃだめみたいに言われてるんです」 「ほう」 「そんなもの、ほっといたらいいじゃねぇか。お前はそもそも失うものがないところが唯一の長所なんだから、踏み倒ししまえ」 「で、でも、もしこれを踏み倒したら僕どうなるんでしょう。自己破産っていうんですか?そうなったら実家の親にも知られるし、たぶん学校にもいられなくなるし、仕事だって起業どころじゃなくなるし、このままずっと居酒屋リグレットで働くなんて、僕はどうなっちゃうんでしょう」 「店名的には最高の店員よね…」 「あぁ」 「で、払込まなくちゃいけないのはいくらなんじゃ?」 「76万円…です…。明後日までに…」 「くはー。デカイねぇ。もう逃げちゃえ。旅にでろ」 「…」 「でもひどい話ねぇ。健太くんみたいな子を騙してそんな風にお金儲けに使うなんて。ちょっと許せないわ」 「ママ、それはちがうんじゃ」 「なにが?」 「けんたくんみたいな子は、そうじゃな、言語に例えるとわかりやすいんじゃが情弱語で暮らしているんじゃ。英語とか日本語とか中国語とかみたいに、世の中には情弱語があると思うとわかりやすい」 「ほう」 「つまり、情弱語のメッセージというものは、情弱以外には響かない。なぜなら母国語じゃないからな。しかしそのかわり、情弱のみなさまには驚くほどに効果がある。しかも情弱のみなさまは疑うことも知らんから、底引き網でガンガン穫れる。これは善悪の問題ではなくて、メッセージの受け手にも問題があることなんじゃ」 「でも健太くんがいくら情弱だからって騙すのは悪いことでしょ?」 「確かに騙すのは悪いことじゃ。しかし、情弱民じゃなかったとしたら、そもそもその言葉に流されることもなかったんじゃ」 「あのー…」 「なんだ」 「じょうじゃくってなんでしょうか…」 「んー」 「…」 「どうぶつに例えるといいかな。ライオンだとおもう?」 「い、いえ…」 「じゃあなんだとおもう?」 「しまうま?」 「近づいた」 「も…もしかして…カモですかね…」 「正解!!!」 「よかったじゃなーい♡」 「カモだな。カモ。俺はコールセンターでマンション売ってるから、カモ猟師くらいかな」 「むらたは人間かどうか微妙じゃの」 「うるせぇよ」 「さ、それじゃあ健太くんの逃亡先でも相談しましょうか♪」 「!!!!逃亡って!ぼく!旅行は高速バスで名古屋しか行ったことないし!そんな!」
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情弱を卒業するために必要なことを教えてやる
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