「アリゲーターガーをいかに釣るか?」怪魚ハンターが語る“釣りのクリエイティビティ”とは
「アリゲーターガーは怪魚だと思います。しかし、“怪魚釣り”と“外来魚の駆除”を一緒にされるのは困ってしまいますね」
いまメディアでは「怪魚」が大きな注目を集めている。では、小塚拓矢氏をご存知だろうか。『情熱大陸』にも出演し、巷では「怪魚ハンター」と呼ばれる人物だ。小塚氏は、体長1m、あるいは体重10kgに成長する淡水巨大魚を釣ることを「怪魚釣り」と称し、ライフワークとしてきた。
これまでに世界40か国以上を旅しながら、50種類以上の怪魚を釣ることに成功。『怪魚を釣る』(集英社インターナショナル)という書籍まで出版している。しかし、冒頭のコメントからも察する通り、並々ならぬ情熱とこだわりを持っている。果たして、小塚氏の怪魚釣りとはいかなるものか。今回は、日刊SPA!取材班が迫ってみた。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1336607
怪魚釣りとは、「怪しい魚」を「釣る」と書く。だが小塚氏は怪魚釣りの重要な要素として、“旅”と“釣りのクリエイティビティ”を挙げる。
「じつは、怪魚を釣ること自体はそんなに難しくないんです。そこに旅と釣りのクリエイティビティがなければ意味がない。まず、“釣りのクリエイティビティ”に関して言えば、北米でアリゲーターガーを釣ったときが印象に残っています。こいつは釣ろうと思えばたくさん釣れる魚ですが、針が掛かったら牙が危なくて放せない、手を大ケガしかねないので、糸(ワイヤー)を切って逃がすことが一般的とされているなか、なんとかそうではない方法で釣ろうと思ったんです。それも、なるべく魚へのダメージが少ないように」
果たして、そこで考えたのはどんな方法なのか?
「輪っかを使って口を縛り上げる方法。僕はこれを“縛り釣り”と呼んでいます。例えるなら、巾着の袋の口を縛るような輪っかを細いワイヤーで作り、そこにエサを仕掛けておくイメージです。アリゲーターガーがエサに食いついた瞬間、ワイヤーが引っ張られ、長い口の部分をきゅっと縛って捕まえることができるんです」
アリゲーターガーといえば、名古屋城の外堀で捕獲されたことも大きなニュースとなった。だが、小塚氏は、この件について聞くとやや顔をしかめてこう言う。
「じつは『釣ってくれ』という依頼もきていました。僕はもともと生物学科にいたのですが、学問的に言えば、純化というか、人間の手が加わらない状態を保持するのがいいとされている。ただ、現実世界でそれは不可能ですよね。まず、城のお堀自体が人工物ですから。とはいえ、一度崩れてしまった生態系のバランスは戻らない。よく『アリゲーターガーが池のコイを食べてしまう』ということがメディアで取り沙汰されていますが、そもそもコイ自体が中国からの外来魚。自然のためにニシキゴイを放流しました、という話も聞きますが、ニシキゴイは遺伝子異常を極めた状態です。本来は自然のことを考えたら放流してはいけません。ともあれ、名古屋城のアリゲーターガーの捕獲に関して言えば、僕の考える怪魚釣りとは異なりますね」
怪魚釣りとは、“旅”と“釣りのクリエイティビティ”
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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『怪魚を釣る』 世界40か国以上で50種超の怪魚を釣り上げてきた著者が、これまでに蓄積したノウハウを惜しみなく披露。怪魚を釣り、食し、研究する楽しみが詰まった一冊。 |
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