更新日:2022年10月29日 02:32
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師走の首都高渋滞予想、最も少ない5月の3倍混む12月で最も危険な日はいつ?

 今年もいつの間にか11月も半ばを過ぎ、もうすぐ年末ですね。師走と言えば道路が混む。年末年始の高速道路の渋滞はもちろんだが、12月に入ると毎年、平日の首都高の渋滞が急増する。原因は、主に業務量の増加だ。首都高の場合、業務利用が約8割近くを占めているので、もともと平日の渋滞が激しく、渋滞量は主に業務量に左右される。週末や休日に混雑が激しくなる東名や名神などの都市間高速とはまったく逆である。   首都高で渋滞が多い月を順に並べると、上位は1位12月(97km)、2位8月(88km)、3位3月(79km)となる。

首都高速の月別渋滞距離(平成28年平日平均 警視庁調べ)

 12月が他の月を引き離して最悪。最も少ない5月(32km)の3倍以上にもなっている。  12月に入ったらもう、平日、首都高が空く日はない。特に15日以降は激しくなり、ピークは25日前後の平日で、雨が降るとさらに最悪だ。その日の夕方(午後5時~7時)は、1年間で最も渋滞が激しくなる。そういう時に首都高に乗るのは自殺行為。レジャーでの利用は絶対に避けたい。  と言っても、近年、首都高の渋滞状況は大きく改善している。これは主にC2(中央環状線)西側区間が順次開通した効果で、2015年3月のC2品川線の開通後、渋滞距離は12%減少した(2015年の平日平均)。特にC2の内側、つまり都心部の渋滞緩和は顕著で、開通3か月後の調査によると、「交通量は約5%減少、渋滞損失時間は約5割減少」(東京都建設局・首都高速道路株式会社)となっている。

首都高速道路の交通渋滞発生状況(平成28年平日平均 警視庁調べ)。平均渋滞距離のは年々短くなっているが、師走の渋滞は激化している

 ただ、今年は楽観できない。景気回復やネット通販の増加、渋滞緩和による交通転換などによって、首都高の交通量が増えてきているからだ。  2015年3月のC2品川線開通によって、環状線のダブル化か完成したにもかかわらず、交通量は約3%の増加(対前年比)にとどまり、それが渋滞緩和につながっていたが、2016年11月以降を見ると、交通量は再び約3%増加している(同)。  3%の増加など大したことないとナメてはいけない。首都高のようなもともと交通容量に余裕のない混雑路線の場合、交通量が3%増えると、渋滞は3割前後増えると見なければならない。つまり現在は、C2品川線開通前よりも、渋滞量は増えている可能性もある。  今年の年末、首都高の渋滞は、昨年より確実に酷いものになるだろう。ただ、吉報もある。  一転来年は、渋滞が大幅に緩和されるはずだ。来年3月、外環道千葉県区間(三郷南―高谷間)が開通し、圏央道も併せると、東京の東側の環状高速が四重になる。加えて、首都高C2のボトルネック区間だった小菅-堀切間と板橋-熊野町間の拡幅工事も完成する。これらの効果で、首都高の渋滞は再び3割前後減少するのではないか(私見)。

拡幅工事中の首都高C2内回り小菅-堀切間

 と言っても、交通量が増えれば元の木阿弥。渋滞緩和にとって最大の敵は、実は景気回復なのである。景気が回復し続ければ、交通量も増えるのが当然。それを打ち消す新規開通予定区間は、外環道東京区間など、残りわずかとなっている。 取材・文・写真/清水草一 【清水草一】 1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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