更新日:2022年10月29日 00:56
カーライフ

「緑の血を吐いて息絶える」と恐れられたシトロエンが大躍進。その理由は?

 当編集部がある東京・港区周辺では、ドイツ御三家はもちろんフェラーリやポルシェなど、輸入車を見かけることは珍しくありません。さすが東京商工リサーチの調査では、社長が住んでいる割合が人口比で1位の港区(東京23区)。とはいえ、全国的には圧倒的に国産車が多いのが日本。輸入車市場はちっぽけなんですが、そんな市場でも相手にしてくれることに感謝です エアバンプぷにぷにMJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

ついに日本人があのシトロエンを理解した(?)ことにカーマニアも大歓喜

 日本の自動車市場はとんでもない国産車寡占状態で、軽自動車も台数に含めると、輸入車の割合は5%くらいっきゃありません。これは輸入車に高関税をかけている中国の4.4%を少し上回る程度。日本は関税ゼロなのにホントに凄いよネ! あの自動車大国ドイツですら約3割は輸入車なので、日本の異常なほどの純血率は際立っております。  ヨーロッパ第2の自動車大国フランスはどうかというと、輸入車はだいたい5割。隣にドイツがいながらがんばっておりますが、日本ではフランス車と言えば完全にマニアの乗り物でございまして、たったの5%の輸入車市場の、さらに5%ほどを占めるのみであります。  なんせ日本では、輸入車の8割弱がドイツ車なので、残り2割強をフランス、イタリア、スウェーデン、イギリス、アメリカで食い合っておるのです。そのいじましさに涙が出ます。  不肖ワタクシはカーマニアですので、これまで購入した47台のうち輸入車が31台、フランス車も6台買っております(プジョーとシトロエンを3台ずつ)。ささやかながら、日本におけるおフランス車の普及に貢献しておるわけでして、現在もシトロエンを1台所有しております。  シトロエン車の美点は、かつては日本人には奇怪に思える超個性的なスタイリングと、油圧と空気で魔法の絨毯の如き乗り心地を誇ったハイドロニューマチックサスペンションにありましたが、「緑の血を吐いて息絶える」とパンピーに恐れられたせいかハイドロサスは廃止となりまして、現在はオシャレな見た目と内装プラス、ドイツ車に比べるとお安い価格等で、なんとかこの不毛の日本市場で踏ん張ってくれています。

5%しかない日本の輸入車市場でどマイナーブランドが大躍進!

 どれくらい踏ん張っておるかと言いますと、実は本年の販売台数の伸び率で見ると、シトロエンは輸入車ブランドとして第2位なのです! 1位 アストンマーチン 169% 2位 シトロエン 157% 3位 マセラティ 147%  どれもこれもどマイナーなブランドばかりで、「もともと売れてる台数が少ないから伸びしろがデカいだけ」とも言えますが、とにかくシトロエンが伸びている! ついに日本人にシトロエンが理解されたのか!? ホントかよ!? 理由はよくわかりませんが、今後は新型C3の投入により、さらなる伸びが期待できるのであります。
新型シトロエンC3

’16年11月に発売された新型シトロエンC3は世界累計販売が20万台に到達。シトロエンのベストセラー車になりました。1.2リッター直3ターボエンジン(6AT)、110馬力、216万円~

 なにしろこのC3、サイズは国産車で言えばアクアやフィットなどのコンパクトクラスですし、5ドアハッチバックで実用性も十分。緑の血を吐くハイドロサスではなくフツーの金属バネを使っていて信頼性もまったく問題ナシ、価格も200万円台前半と意外なお安さ。乗り心地はフランス車らしいふんわり感があってとってもステキです。  エンジンは3気筒1200ccのダウンサイジングターボ。十分な低燃費と笑っちゃうほど鋭い加速を両立させております。ワタクシ所有のDS3も同じエンジンですが、平均燃費はリッター14km。低速トルクの太さで空を飛ぶように加速するけど、床までアクセル踏み込んでも大して加速しませんよという、とっても実用的で楽しく、しかも免停の心配も少ない、すばらしい特性を持っています。
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新型シトロエンC3の顔ってアレに似てる?!
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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