氷点下の夜の強い味方「あたたか敷きパッド」。正しい製品の選び方は?<元ふとん屋が教えます>
―[元ふとん屋が教えます/大野悦史]―
こんにちは、ふとんや元店長の大野です。氷点下の日が続いたりと、今年の冬は本当に寒いですね。こういうときは眠りも妨げられがち。そこでワンランク上の防寒寝具を考えていきましょう。
皆さんは敷ふとんやマットレスの上になにか載せてますか? 店頭に接客していた頃の感じだと「シーツの上は何もなし」という方も多いようです。
しかし、ブロードやサテンなどのなめらかなシーツは触れるとヒヤッとしますし、ニットのような伸び縮みするものは比較的ぬくもりがありますが、限度もあります。
どうしてシーツだけだと暖かみが足りないかというと、厚みがないからです。単純ですね。蓄熱するうえでわた層による嵩(かさ)の存在はとても大切です。
なのでシーツだけを敷寝具に掛けて眠っているなら、敷きパッドを足すだけで簡単に暖かくなれます。
これはなぜかというと、たいていの「あったか敷きパッドシーツ」は起毛してあるからです。パッドシーツは中わただけでなく、この起毛された“繊維の森”にも蓄熱されます。要はかさが起毛の分だけ増すわけですね。逆にシーツの下だと繊維が倒れてしまい効果が減少します。
でも寒いからと言って敷寝具の上のパッドシーツをどこまでも分厚くできるものではありません。過剰に敷くもののかさを高くしてしまうと、今度は寝姿勢が崩れてしまい、それはそれで害悪です。
程度としては敷寝具本体の性質にもよりますが、「敷パッド1枚分+α」がせいぜい。そこで今度は素材の性能差で暖かさを追求していく必要が出てくるわけです。
敷きパッドの素材で使われる表面を起毛させた繊維には、天然のものと人造のものがあります。ウールやコットンなどは天然もの、アクリルやポリエステルなどは人造ものです。
単純に暖かさを比較していくと、おおよそ天然繊維>人造繊維です。
ところで、ほぼ全ての繊維は吸湿発熱性を持ちます。これは繊維が湿気に触れたときに発熱する性質を持っているということで、とても都合がいい機能です。
というのも睡眠中には寝汗がつきものなので、逆にこれを利用して暖かくなれてしまうんですね。
この吸湿発熱力も、天然繊維は人造繊維を凌駕しています。今でも天然繊維が駆逐されることなく普及しているのには、しっかりとした理由があるんです。
「じゃあ暖かく眠るには天然繊維の敷きパッドを使えばいいんだ」となりそうですが、ちょっと待ってください。
天然ものには大きな弱点もあります。ウールは値段が高く、ちゃんとしたものは文字通り桁が違います。またコットンは湿気を吸ったら吸いっ放しなので、すぐに湿ってしまい、かえって冷えてしまいます。
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