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いまどき公衆電話を使う人は怪しいと思え――新宿区大久保の場合

 仙頭正教です。アジア一の繁華街、新宿歌舞伎町のガイド人をやっています。  ガイドと言っても、私の場合、立ちんぼスポットからボッタクリ客引き、心霊ビルまで、町の“怪しい”スポットを紹介するのがメインです。  そんな私には、公衆電話を使っている人間を見かけるとつい勘ぐってしまう癖があります。  ケータイを持っているのが当たり前のこのご時世に、どうして公衆電話を? ケータイの電池切れ? 未払いで止まってる? ……いや、もしかしたら身元がバレたくないんでケータイを使わないんじゃないだろうか? それこそ電話の相手は“売人”で、これから覚醒剤を買おうとしてたりして?  そんな想像をしてしまうんです。  考えすぎだと思われるかもしれません。けれど、クスリ事情に明るい歌舞伎町住人によると、“客”が公衆電話から“売人”に連絡することは多いそうなんです。  両者から聞いた話を紹介しましょう。

公衆電話利用客M氏の言い分

実際の公衆電話

実際の公衆電話

「実際、私は大久保(新宿区)で公衆電話を使っていますよ。自分のケータイを使うのはやっぱり気が引けるんで。電話をかける相手は、ネット掲示板の販売業者です。『裏2ちゃんねる』というサイトを見たことありませんか? 隠語の書き込みがずらっと並んでるんですよ」  M氏によると、下記のような書き込みがあるといいます。 <アイス・野菜・自転車★手押し/都内デリバリーします! 070××××××××>『アイス』は覚醒剤、『野菜』は大麻、『自転車』はコカイン、『手押し』は手渡し配達、の意味。連絡先は、ケータイ番号だけってのが多いですが、中には『非通知、公衆電話からの対応も可能』と書いていてる業者もあります。私はそういうところを選ぶんです」 書き込み M氏曰く、「買い方自体は簡単」とのこと。電話をすると、「はい、アイス(覚醒剤)を1gね。1時間後に新宿で渡すカタチでどう? 着いたら電話して」という感じですぐに話がつくのだとか。 「で、付近に到着したときに、こちらの服装を伝え、指定された場所、例えば駅前なりパチンコ屋なり路上なりで待つ。すると、配達の人間・通称『プッシャー』が声をかけてくるというのが一般的な流れですね。プッシャーは、電話でしゃべった相手と違う人間ってこともよくあります。私は7、8人のプッシャーに会いましたが、だいたい全員、見た目はフツーの人。一度だけ、やけに目が充血した若い女のコがやってきたときがありましたけど、あのコはキマってたんでしょうね」
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“売人”O氏の言い分
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・ツアー募集(https://kabukicho-guide.com/
・メール(masanorisento@gmail.com)
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