デジタル

スマホ代「4割引き下げ」はあり得ない。ユーザーができる節約法は?

~柳谷智宣の「デジタル四方山話」第20回~

 今年8月、菅義偉官房長官が「携帯電話料金を今より4割程度下げる余地がある」と言及し、話題になった。今の料金が高いと感じている人たちは歓迎したし、政府が民間企業に何を言っているのだという論調も出た。もうすぐ半額くらいになるんだよね、という声も聞くが、筆者としての見解は「そんなことはあり得ない」だ。

決して高いわけではない日本の大手キャリアの携帯電話料金

 まず、日本の携帯電話料金は、世界と比較してもそんなに高くない。  9月19日に総務省が発表した「電気通信サービスに係る内外価格差調査 平成29年度調査結果」によると、大手キャリアではデータ量2GBや5GBが世界的に見て中位の水準、MVNO(格安SIM)も中位の水準となっている。大手のデータ量20GBプランのみ高い水準とされ、逆にフィーチャーフォンについては低廉な水準になっている。

「電気通信サービスに係る内外価格差調査 平成29年度調査結果」(総務省)より

「電気通信サービスに係る内外価格差調査 平成29年度調査結果」(総務省)より

 個別のデータを見ていくと、確かに東京が一番高くなっているプランはある。特に、その国のシェアトップ(NTTドコモ)のプランを比較したときは高めに出る。しかし、このデータは長期割引を入れずに比較しているし、端末の割引も含まれていない。

「電気通信サービスに係る内外価格差調査 平成29年度調査結果」(総務省)より

 シェアトップ事業者のプランで、iPhone 8 64GBを購入した状態で比較すると、ニューヨーク、ソウル、ロンドンに続いて東京が来る。今回の6都市では安い部類に入るのだ。

シェア1位事業者で、通信料金と端末割賦代金が一体になったプランの比較。「電気通信サービスに係る内外価格差調査 平成29年度調査結果」(総務省)より

 とはいえ、ほかの国々と比べて高くないとはいえ、もちろん安いとも言えない。  昔と比べて、家計に対する電話通信量の支出額は増える一方で、2016年は4.14%、年間12万392円という負担になっている。もはや携帯電話やスマホは1人1台の世界になっているので、家庭持ちが支払っている金額はさらに大きい。「4割安くなってくれ」と思うのは当然だろう。
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大手キャリアの料金引き下げを待たなくてもコストカットはできる
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる

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