バブル崩壊後の’93~’05年の就職氷河期に社会に放り出され、その後のキャリア形成期にデフレとなり、給料が上がらないまま36~48歳の中年になったロスジェネ世代。就職、結婚、資産形成など人生におけるさまざまな局面で辛酸を舐め続けたロスジェネ中年たちは今、新たな問題に直面している。およそ2000万人いるといわれる、社会が生み出した「ロスジェネ中年」に救いはあるのか。そのリアルに迫る!
常見陽平氏(左)と赤木智弘氏
世間から見放された20年間。ロスジェネは一生負け続ける!?
失われた20年を生きた36~48歳のロスジェネ中年。彼らの抱える問題点とはなにか。ロスジェネ世代の働き方評論家・常見陽平氏とフリーライター・赤木智弘氏に大いに語ってもらった。
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常見陽平(以下、常見):ロスジェネの定義には諸説あります。基本的には「就職氷河期」に学校を卒業した世代です。特にバブル崩壊後から’00年代前半にかけて、採用抑制により学卒者における就職率が悪化しただけでなく、いわゆる新卒無業者も増加しました。
【年表・ロスジェネ不遇の歴史】明らかに凹んでいるゾーンが象徴的
赤木智弘(以下、赤木):現在36~48歳で、まさに僕らがど真ん中ですよね。そして「失われた20年」といわれる長期経済停滞期に、低賃金のまま働くことを義務付けられた世代でもあります。
常見:そう、このバブル崩壊後に、企業は生き残るために日本的雇用システムの見直しを行いました。採用抑制を行った上、成果型賃金の導入などを模索しました。その実験第1号が僕らロスジェネ。SPA!が作った「大学・大学院卒の平均賃金」では、35~39歳は月約3万円、40~44歳は月6万円も少ない。
大学・大学院卒の平均賃金の変化
赤木:これ、生涯獲得賃金にしたら、相当な差が出ますよね。
常見:低賃金で、雇用も不安定のままで、かつての若者も中年になり、変わらず苦しい状況に置かれている人たちがいます。例えばバブル世代が人員過剰だからポストにつけず40歳超えてもヒラ社員で苦悩していたり。役職を勝ち得た人でも、生真面目な人は一生懸命に部下に叱咤激励して“ブラック上司”扱いされていたり。
赤木:団塊ジュニア世代で人も多いから、そもそも就職できずに苦しみ続ける万年フリーターもいまだに多いですね。
常見:あとはバブル世代から豪勢な“夢”を見させられているから、必死で就職、結婚、マイホーム購入などの“社会人モデル”に縋り付き疲弊している人もいるように思いますね。