パパ活ブームが訪れてから早数年、愛人相場の下落が止まらない。「月2万円で愛人契約」という格安愛人が増えた要因は? 日本で唯一のパパ活専門家・七瀬結氏と恋愛ジャーナリストのおおしまりえ氏がその背景を語る。
おおしまりえ氏(左)と七瀬結氏
価格破壊が起きているパパ活戦線
七瀬結氏(以下、七瀬):今の時代、愛人の定義が変わってきていることも関係しています。もともと奥さまにも知られていたりビジネスなど公の場などに連れて行ったりしても恥ずかしくない存在が愛人でした。それが今や、男性は風俗に行く感覚で相手を探しています。カジュアルに始めてしまったことを、雰囲気をよくするため“愛人”って言っているだけだと思うんです。
おおしまりえ氏(以下、おおしま):愛人がいる男性に話を聞くと、多くは恋人気分を味わいたいという動機を耳にします。だからプロの風俗嬢は目的が違うと。本当は不倫がしたいけれど、相手を探すのが大変そうだからお金を介在させたら楽に見つかるのではないか。そんな考えからパパ活をする人は多いように思います。ただ女性側はお金が欲しいだけだから、結果としてミスマッチが起きてしまうんですよね。
七瀬:月2万円の契約で何回会って何をするかにもよりますが、デートして恋人気分を味わえて2万円のお小遣いを渡して後腐れなく済むなら、リーズナブルですよね。女性としてはもっとくれと言いたくなると思いますが。
おおしま:女性からしたら風俗や水商売をするよりも楽にできる感覚かもしれません。「お金がないな」と思ったら、その場でアプリに登録すればいい。風俗などはお店を探し面接に行かなくてはならず、それに比べると手軽ですよね。
七瀬:今や会社員や公務員など、年収400万円台の人ですらパパ活をしたがる時代ですから、当然相場は下がります。また女性側もパパ活の動機として、奨学金返済を口にする方が多いのも価格下落の理由として関係しているかもしれません。本人としては借金している感覚はなく、でも、じわじわと生活は困窮している。そんなとき、月2万円でも援助してもらえたらそれを奨学金返済に充て、お給料を生活費に回せて楽できる。そんな感覚はあるかもしれません。
おおしま:また、SNSでのパパ活募集が普及したことで、同性同士で相場や情報共有がなされるようになったことも、価格の下落を引き起こしていると思います。SNSでパパ募集を呼びかける女性たちって、面白いくらい募集金額や文言が一緒です。そんな状況で差別化させようと思うと、安易な値下げに踏み出す女性が多いのもうなずけます。
七瀬:そもそも交際クラブなどでも男性からオファーがもらえる女性は3割といわれています。月2万円でもオファーがもらえるだけありがたいと考える女性がいても、おかしくはありません。
おおしま:個人的には、メルカリの文化が値下げを助長しているようにも思うんです。あのサービスって買おうと思ったらまずコメントで「値下げ交渉可能ですか?」と聞くのがある種マナーになっています。そこで下がったらラッキーだし、下がらなかったらまた考える。そういう個人間での価格交渉が当たり前という価値観が浸透し、パパ活も価格交渉しやすい空気感を生み出しているように思います。