「特級」のスコッチウイスキーを見かけたら絶対飲むべき理由
― 30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン第57回 ―
バーに通っていると、時々ボロボロの古いウイスキーに「特級」と表記されているのを見かけます。とは言え、銘柄はジョニーウォーカーやオールドパーなど、普通に買えるものだったりします。この「特級」表記の意味を知っておくと格好いいです。
特級ウイスキーは、その当時、凄くもなんともなかったのですが、現在となっては熱烈なファンも多い垂涎の的となっています。筆者もオークションサイトを覗いては、こまめに買い集めるようにしています。今回は「特級」について紹介しましょう。
戦後、1949年に原酒混和率を元に1級から3級までの等級が定められました。1級が30%以上、2級が5%以上、3級が5%未満です。原酒混和率とは、製品のうち、原酒が占める比率のことです。つまり、アルコールや水で薄め、香料や着色料を使ったものもウイスキーとして販売されていました。3級であれば、原酒ゼロのものもあったそうです。
当然、等級が高いほど、酒税も高くなります。戦後の混乱時代、密造された粗悪酒が広がり、さらには「目が散る」メチルアルコールを飲む人まで出ていました。ある程度の品質コントロールと税収の増加といった目的があったのでしょう。
1953年に酒税法が改正され、1級を特級、2級を1級、3級を2級とすることとなりました。1962年には、雑種扱いだったウイスキーがカテゴリーとして独立し、原酒混和率も変更されました。特級が20%以上、1級が10%以上、2級が10%未満です。
1968年と1978年にもそれぞれの比率が段階的に引き上げられ、1989年に級分けが廃止されるまで利用されました。最終的には、特級が27%以上、1級が17%以上、2級が10%以上です。もちろん、我々が知る原酒100%のウイスキーと比べると別物ですし、美味しいものでもありません。
ブレンデッドウイスキーを作るため、モルト原酒にグレーン原酒を混ぜるのですが、国内でこのグレーン原酒を作り始めたのは、1963年からなのです。その後、サントリーやニッカのウイスキーは品質をぐんぐんと向上させていきます。
まとめると、「特級」表記があるウイスキーは1989年以前に流通していたということです。「雑種」表記があるものは1962年以前に流通していたことがわかります。おじさんにとっては、1989年などつい最近と思いがちですが、実はもう30年も時間が経っているのです。
「特級」表記があるウイスキーは、なぜ価値があるのか?
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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