女子中学生を誘拐か。自称“芸能プロ社長”50歳のあやしい言い分
芸能ニュースを読んでいると「“自称”芸能関係者」という肩書を目にして、思わず「一体、誰?」と突っ込んだことはないでしょうか。
今回の罪状は未成年者誘拐。事務所と称した自宅に中学生を研修と偽り宿泊させ、体を触るなどした疑いが持たれています。
被告人は、もともと90年代に個人で芸能事務所を営み、その後某テレビ局社員を経験。現在は親族とともに不動産業や塾経営を行うかたわら、芸能事務所の経営も行っていたそうです。
文字だけで追うとありそうな経歴ですし、ホンモノっぽくも感じます。しかし、そういった字面のキラキラ感がホンモノかどうか、真実を突き詰めていくのが裁判の面白いところです。
まず、現在の芸能事務所の営業形態について。問われるとN区にある一軒家を自宅兼芸能事務所としていた被告人。芸能事務所の収入源を聞かれると、ローティーンアイドルを雇用し、イベントの出演料やチェキの売上を折半するなどして、月15万円ほどを稼いでいたそうです。
「……え、たった15万円!?」
傍聴していた人全員が思ったことでしょう。そんな少額では生活が厳しいのは明白。しかし現在の売上内訳を聞くと、不動産業20万ほど、塾経営50万ほど、そして芸能事業が15万円ほどなのだそうです。まあ全部自称ですが。
どうしてこんなに金額が少ないのかと思ったら、スタッフは自分ひとりで、タレントは1年に1人しか雇用しないとのこと。“少数精鋭”を謳っていますが、精鋭とは言い難い状況が浮き彫りになっていきます。
弱小すぎる事務所に飛び込んだのが、今回の被害者A子さん(中学生)です。もともと某芸能養成スクールで芽が出なかった彼女。今回は研修生という立場からスタートすることになったそう。
この研修生という制度が、なかなかにブラックです。被告人の事務所では、イベント時の服は現物支給。交通費は一律1000円。都内イベント時の宿泊場所は事務所(つまり被告人の自宅)。嫌なら自費でホテルを取ること。出演料は基本的になく、チェキなどの売上を折半するそうです。
分かりやすく悪条件な気がしますが……。契約を交わし、3日間の研修が始まりました。この研修が、誘拐罪にあたるかが本裁判の論点になっているのですが、なんと研修場所は東京ディズニーランド!
ただのデートかよ!? と思ったら、「緊張もほぐれて打ち合わせしやすくなると思ったから」「業界の話や戦略説明はどこでも出来るから」「列に並びながら研修を行った」と、被告人は言い張ります。
知らないおっさんとのディズニーランドなんて拷問以外の何物でもないですが、被告人はデート中饒舌に業界話を語り、A子さんとの距離を詰めようとしたようです。
今回、そんな「自称芸能事務所社長」と名乗る人物の裁判傍聴をしました。容疑は未成年者誘拐。何してんだ……という感じですが、はたして自称芸能事務所社長は“ホンモノ”なのでしょうか?
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被告人:前村冬彦(仮名・50歳)
罪状:未成年者誘拐罪
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売上月15万円で芸能事務所といえるのか?
研修で東京ディズニーランドへ!?
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株式会社フミニティ代表取締役。恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、働き方と恋愛を主なテーマに発信を行う。また、企業向けのマーケティング支援も得意とする。anan、女性自身、現代ビジネスオンラインなどで執筆多数。公式HP「コラムニストおおしまりえオフィシャルサイト」。Twitter:@utena0518
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