エンタメ

中国版TikTokで280万人フォロワーの日本人女性「市場規模や収益性などスケール感が違う」

 10代から20代の若者に絶大な人気を誇る動画アプリ「TikTok(ティックトック)」。2017年夏に日本へ上陸して以来、急速にユーザーを広げ、芸能人やアイドルのほか、一芸に秀でた動画を投稿する「TikToker(ティックトッカー)」を多く輩出。大きなムーブメントを起こしている。  そんななか、日本で流行しているTikTokの中国版「抖音(ドウイン)」で、大きな収入を得ているインフルエンサーもいるという。
石田奈々

株式会社7ドットの代表取締役を務める石田奈々さん(23歳)。抖音では「櫻花奈々」の芸名で活動

 そのうちのひとりが、株式会社7ドットで代表取締役を務める石田奈々さん(23歳)だ。コロナ禍で抖音を始め、現在では280万人フォロワーを誇る。日本版ではなく、“越境TikToker”として活動するようになったきっかけや抖音の実情について話を聞いた。

音楽ガールズユニットのバイオリニストとして芸能活動をスタート

石田奈々 石田さんは学生時代から芸能の仕事に憧れを持っており、中学の頃から数多くのオーディションを受けていたという。 「ジュノンコンテストやAKB48のオーディションなど、100社以上はオーディションを受けましたかね。ただ、最終審査まで通るところはあっても、なかなか受からない状況が続きました。最終的には、『C;ON(シーオン) 』という音楽ガールズユニットのオーディションに総勢約3000名くらいの中からメンバーに選出されて、芸能活動を始めたんです」  C;ONではバイオリンを担当し、精力的にライブ活動をこなす傍ら、メディアにも出演を果たすなどの充実した日々を過ごしていたそうだ。 「日本テレビ系バラエティ番組『おしゃれイズム』やフジテレビ系お笑い番組『志村の夜』など、お茶の間で知られるテレビ番組に出演させてもらったことで、色々な経験を積むことができました。また、梅沢富美男さんと研ナオコさんが行う巡業公演や、プロレスリングZERO1の会場など、たくさんの観衆が集まる場所でも演奏する機会があり、一時はこの道で頑張ろうと思っていました」  しかし、石田さんは音楽ガールズユニットの脱退を決意し、別の道を志すようになる。  女性メンバー同士の和気あいあいとした雰囲気にどうしてもついていけず、仕事以外での遊びや食事といったプライベートの付き合いをするほどの人間関係を築けなかったのだそうだ。  さらに、週に3〜4日のライブ活動だけでは満足に稼げず、所属事務所の電話応対や関連するジュエリーショップの店員など、掛け持ちで仕事をしていたこともあり、先行きに不安を感じていたという。 「ちょうど辞めようかなと思っていた矢先、女優のオーディションがあって。じつは、女優になろうと芝居の稽古にも通っていて、ガールズユニットの事務所からも『好きに活動していい』と言われていました。それで挑戦したみたところ見事合格し、自主制作映画のヒロインに抜擢されることになったんです。それを機に、事務所をやめてフリーで活動していくことを決心しました」

女優として下積みを続けるも、なかなか花開かず

 事務所を辞め、様々な映画や舞台に出演するようになったことで、「ひとつの作品を創り上げるためにプロデューサーや映像作家などものづくりの現場に身を置くのが楽しくなっていた」と話す石田さん。  ただ、女優としての道を歩み始めたものの「最初の半年間は無給で活動した」という。 「まずは下積みをする覚悟で、とにかく現場をこなしながら、お芝居の演技が板につくように努力しました。なので、合間を縫ってアルバイトもこなし、生計を立てていましたね」  ひとつの転機になったのは、一世を風靡した映画『カメラを止めるな!』の製作元であるENBUゼミナールのオーディションに応募したことだった。 「21歳の時に、ENBUゼミナール主催のオーディションに受かったんですが、今までの経歴や若さを買われ、斎藤工さんが所属する芸能プロダクション『ブルーベアハウス』にスカウトされたんです」  こうしてまたひとつ、女優としての階段を上がったかのように見えた。  しかし、事務所に所属したことで参加できるオーディションの種類は増えたものの、応募者のレベルも総じて高くなったことで選考通過に至らない案件が続いたという。 「それでもオーディションを受け続け、出演が決まった舞台公演に向けて準備を進めているうちに、気づけばコロナ禍で全て白紙になってしまった。なので、一旦やむなしに芸能活動を休止し、これからどうしていこうかと思っていました。  そんなある日、当時働いていたバーのお客さんから中国版TikTokの『抖音』について教えてもらったんです。色々と話を聞いていくうちに関心を持ち、『明後日、撮影するけど来る?』と言われたので、初めは興味本位で一度やってみようと思いました」
次のページ
開始3ヶ月で100万フォロワーに
1
2
3
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ