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サッカー日本代表、アジア最終予選に黄色信号。選手、スタッフ間に漂う慢心

オマーン戦は黒星スタート

サッカー日本代表

写真提供/JFA

 2022年11月から開催されるFIFAワールドカップカタール2022のアジア最終予選が始まった。9月2日にホームでオマーンと対戦した日本代表は0-1で敗れたが、9月7日に中立地のカタールで行われた中国戦では1-0で勝利。1勝1敗でグループBの4位と、いきなり苦しい立場に立たされている。  10月7日には2連勝で2位につけるサウジアラビアと、10月12日には同じく2連勝し首位に立つオーストリアと対戦することが決まっており、さらに厳しい戦いが待ち受ける。しかし、ポジティブにとらえれば10月開催の2戦に勝利すればグループ首位も見えてくる。そのために日本代表は、今後何をしなければならないのだろうか。  ワールドカップ最終予選の初戦となったオマーン戦は0-1での敗戦となり、ネガティブな意味での衝撃と驚きを与えた。試合後にキャプテンを務める吉田麻也が「負けるべくして負けた」と表現した試合は、慢心や緊張感の欠如に起因する準備不足が大きな敗因となった。

準備不足はメンタル面だけではない

久保建英

写真提供/JFA

 その敗戦後に選手間でのミーティングを行い最終予選の大切さについて再確認して中国戦に臨んだという吉田麻也は、中国戦での勝利後に「今日みたいな精神的な準備で試合に挑まなければいけないし、その精神的状態がスタンダードにならなければいけない」とコメント。初戦はメンタル面での準備が不十分だったことを認め、それを引き締め直したことが2戦目での勝因のひとつとなったことを挙げた。  ただ、準備不足だったのは選手のメンタル面だけではなかった。今回の招集メンバーは明らかにコンディション不良の選手が多く、2戦を通して離脱者が3名も出る異常事態だった。さらに、コロナ禍とスケジュールの影響で冨安健洋と守田英正が1戦目の後のカタールから合流となり、実は1戦目を戦えるメンバーは相手よりも少なかった。9月1日に板倉滉が負傷離脱することになり昌子源を追加招集することになったが、この時点でA代表でのボランチ経験者は遠藤航と柴崎岳の2人だけとなり替えがきかない状態だった。  そして、1試合も出場することなく9月4日に離脱した南野拓実は、そもそも2試合目にも出られるかどうかわからない状態のまま招集したと言われている。加えて、1戦目の後に離脱した酒井宏樹の離脱理由はオーバーワーク。休みなくオリンピックに出場しすぐに移籍した浦和レッズでも出場するという強行で、不調なのは誰の目からも明らかだった。酒井宏樹ほどではないとしても、同様のスケジュールで戦っている選手は今回のメンバーに多くコンディション不良は招集前からわかりきっていることだった。
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コロナ禍での制限は始まる前から分かっていた
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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