「冷凍ラーメン自販機」全国拡大、老舗製麺所が乗り越えた存続危機
コロナ禍で大きな影響を受けた飲食業界は、新たな活路を見出すべく、さまざまなサービスやビジネスに取り組んでいる。フードデリバリーに参入したり、自社の商品をネット通販で売ったり、昼夜で業態を変える「二毛作」営業を行ったり……。
ヌードルツアーズは、全国の有名店のラーメンを、お店さながらの本格的な味わいで楽しめるものだ。
さらに24時間稼働している自販機ゆえ、実店舗のような行列や閉店時間を気にせず、いつでも購入できるのが特徴と言える。
同サービスを運営する丸山製麺は、製麺業界に根を下ろして64年という老舗企業。長年培ってきた製麺技術をもとに、業務用の卸売り事業で成長してきた製麺所だ。
「ラーメン店だけではなく、社員食堂や駅中にある立ち食いそば屋にも製麺を卸している点が他社との差別化につながり、これまで成長を続けてきたんです」
こう話す丸山さんは、丸山製麺の社長・丸山和浩氏を父に持つ息子として育った。
丸山製麺の取締役に就任する前は、渋谷に居を構えるIT企業でバリバリ働くビジネスマンとしてキャリアを築いてきたという。
「VOYAGE GROUP(入社時はECナビ)という会社で、インターネットやスマホの広告運用の仕事に携わっていました。また、子会社に異動した際はセールス責任者として新規事業の立ち上げを経験し、1からビジネスを作ることを学びました。
ただ、ずっと同じ会社でキャリアアップを目指すのではなく『30歳で会社を辞める』と決めて入社したので、2018年に家業を継ぐため、丸山製麺に戻ってきたんです」
IT企業で揉まれながら、ビジネスの感度やスキルを高めてきた丸山さん。しかし、家業に戻って新たなビジネスを立ち上げようと提案するも、なかなか受け入れられずにいたそうだ。
製麺業界のなかで、着実に地位を築いてきた丸山製麺にとって、既存の卸売事業は順調に成長していた。そのため、あえてリスクを背負う必要はなく、新しい挑戦をするという選択肢もなかったという。
「家業に戻りつつも、自分のやりたいことができなかったので、半ば英気を養うためにも別で会社を立ち上げたんですよ。そこでは、IT企業の経験を生かして、スタートアップ企業のビジネス支援やWebマーケティング領域の運用・支援などを行っていました」
いつ時短営業の要請が出るか読めない社会情勢だからこそ、利益を上げるために模索し続ける姿勢が肝要になってくるだろう。そんななか、苦難にさらされる飲食店のいわば救世主として、導入されているのが「ヌードルツアーズ」という冷凍ラーメン自販機だ。
今までありそうでなかった自販機だが、在宅時間増加に伴う内食需要の高まりによって人気を博しているという。ヌードルツアーズを手がける株式会社丸山製麺 取締役の丸山晃司さんに、冷凍ラーメンの自販機ビジネスを始めた背景や今後の展望について話を聞いた。
60年以上続く老舗の製麺所が「冷凍ラーメン自販機」を展開
IT企業でキャリアを積み、30歳で家業を継ぐことに
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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