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ゴルフスイングの定説「背中の軸を意識」するほど理想とは遠ざかるわけ/三觜喜一

 教える側の経験則や主観で語られてきた既存の指導法とは一線を画す論理的なレッスンで、YouTubeチャンネル登録者数37万人とゴルファーから絶大な人気を誇るティーチングプロの三觜喜一氏。3月には「自身の集大成」と位置付けるゴルフレッスン本『誰も知らなかったゴルフの教科書』が発売される。そんな彼が『週刊SPA!』で1年半に渡って繰り広げてきた“誌上レッスン”をここに公開!
三觜喜一氏

三觜喜一氏(日本プロゴルフ協会認定ティーチングプロA級)

Lesson04 フェースを開閉させても、ボールをスクエアに捉えるには?

「クラブに働く遠心力に逆らわず、スイング中にフェースを開閉させましょう」  この連載を読み続けている人は、いい加減この話を聞き飽きたかもしれません。しかし僕が何度も言い続けるのは、ここにゴルフ上達の肝があるから。このゴルフの原理原則を理解しているか否かで、上達のスピードに大きな差が出ます。  ところが、最近のゴルフ界では、「フェースの開閉を極力抑えてスイングしましょう」というレッスンが主流になっています。どのゴルフ雑誌やレッスン本を見てもそんな理論ばかりなので、多くのアマチュアは、フェース面を固定したまま振るのが正しいことだと思い込んでしまっている……。これではいつまでたってもゴルフの真実に適うスイングは手に入りません。そんな認識は脳から即刻アンインストールしちゃいましょう。

ゴルフは“ふたつの支点”でスイングする!

 ゴルフクラブはグリップの延長線上に重心が存在しない“偏重心”という特性がある道具です。なおかつ先端側が極端に重い構造をしているため、頑張ってフェースを閉じたまま振ろうとしても、ダウンスイング中に遠心力が働き、フェースは右に開こうとします。  アプローチのように遠くへ飛ばす必要がなく、小さい振り幅でゆっくり打つショットであれば、フェース面をスクエアにキープしたまま打つことも可能でしょう。でも、通常のショットのスイングスピードでは、間違いなくヘッドが開いてしまうのです。 「とはいえ、フェースを大きく開閉させるとボールをスクエアに当てるのが難しいんじゃないの?」  そんな疑問を抱く人も数多くいるでしょう。これまでゴルフクラブの特性について口すっぱくお話ししてきましたが、今回お話しするのは理想的なクラブの動きを可能にする体の“支点”について。クラブの特性を知り、体の支点について理解すれば、フェースを開閉させてもきちんと真っすぐ・遠くに飛ばすことができるスイングの基礎ができあがります。  ゴルフスイングをひと言で言ってしまうと、クラブが体の右から最下点を経て左へと動く“振り子運動”です。通常、振り子の支点はひとつですが、ゴルフのスイングではふたつ。まずはここを理解する必要があります。  クラブを握る部分を支点にした、手首からヘッドにかけての振り子が第一の振り子。そして、首のつけ根を支点にした肩から腕の振り子が第二の振り子です。つまり、ゴルフのスイングは支点がふたつ存在する、“二重振り子運動”なんです。 ゴルフ ヘッドを開閉させるのは、手首から先の第一の振り子の役目ですが、手首から下だけで出せるヘッドスピードには限界があります。そこでクラブの円運動をより加速させようとしたときに初めて、体全体の回転速度を上げる第二の振り子の動きが必要となるわけです。
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”ハンドファースト”も2つの振り子運動によって作られる
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みつはしよしかず●’74年、神奈川県生まれ。日本プロゴルフ協会認定ティーチングプロA級。ジュニア育成、ツアープロコーチとしても活躍。YouTubeの「三觜喜一MITSUHASHI TV」は登録者数41万人超

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【過去記事を参照 Lesson 1~41、82~】⇒日刊SPA!
【過去記事を参照 Lesson 42~81】⇒bizSPA!

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