大石知事が石木ダム予定地を徒歩で視察
石木ダム予定地を視察、反対派住民から説明を受ける大石知事
「長崎県知事選」(2月20日投開票)で、現職の中村法道知事と新人の宮沢由彦候補を破り、全国最年少知事となった大石賢吾・新知事(自民党県連と日本維新の会が推薦)が4月20日に石木ダム建設予定地の長崎県川棚町川原(こうばる)地区を視察、反対派住民の説明に耳を傾けた。現地に初めて足を運んだ3月10日は短時間で挨拶程度しかできなかったため、翌月に再訪。住民に案内されながら予定地を1時間かけて徒歩で視察、囲み取材にも応じた。
まず大石知事は「(住民の)土地への思いが改めて尊いものだというふうに認識しました」と切り出し、途中で墓参りをした時の思いを聞かれると、次のように答えた。
「これは、ご先祖があって今の現地の方がいらっしゃるというのと、この方々がお守りになっている土地も引き継いできたものというものがありますので、ここはやはりご先祖の方々にも御挨拶、思っていることについてもしっかりと伝えたくて墓参りをしました」
続いて幹事社の記者が「住民の方たちは先祖代々受け継いだ土地を守りたい思いと、工事を中止してもらえるのではないかという期待感も高まっていると思うが、このダム事業について今後、どう取り扱っていきたいと考えなのか」と聞くと、大石知事はこう答えた。
「いまお話の通り、この土地を思う気持ち、私も自然豊かな土地に触れて、やはり故郷は尊いものだというふうに認識しましたので、今後、この次は住民の皆様の話を聞いて、思いも含めてしっかりと話を聞くという機会を設けたいと思います」「(住民のダム工事中断を含めた)思いを含めて、まずしっかりと話を聞いて、その後しっかりと話し合いができるかと思いますので。まずは聞く機会を設けたいと思います」
公約に掲げていた「ダム推進」が揺らぐことはあったのか!?
視察後、囲み取材に臨んだ大石知事
続いて幹事社以外の記者との質疑応答となった。
KTNテレビ長崎:実際に回って見て気持ちの変化とか、こんなところがあるのだなと大石知事なりに思った部分、どういったところがありますか。
大石知事:前々から「素敵な場所だ」ということは聞いておりましたので、実際やはり回って、自然、本当に緑がきれいな時期ですし、「本当に自然が豊かだな」と見て感じたところです。鯉のぼりが立っていて、「この街で新しい命が生まれて生活が送られているのだ」と、足を運んで改めて感じたところでした。
朝日新聞:住民の方とのやりとりで一番印象に残ったやりとりは何だったのでしょうか。
大石知事:全部ですね。全部でしたけれども、やっぱりいろいろな世代の方々が一緒に暮らされていて、昔からの伝統、習慣をしっかりと守っていらっしゃる、大切にされているのだなというところは改めて感じました。
長崎新聞:ノートにメモを取られていましたが。
大石知事:全部取りたかったのですが、なかなか全部は取れなかった。ほんのちょっと、キーワードだけ。
長崎新聞:公約として(掲げた石木ダム)推進を考えられていると思いますが、この風景の中を歩かれて何か揺らぐことはありますか。
大石知事:本当に、この自然の豊かさときれいさは否定のしようがないだろうと。ダムの必要性については、そこと切り離した話になると思います。まずはこの地域で、川原の皆様が守られているものをまずはしっかりと見て感じて、ここを拝見したうえで、しっかりとお話し合いをしたいと思っています。
視察中、熱心にメモを取る大石知事
この後、カジノ誘致関連の質問が出て大石知事が答えたところで囲み取材は終了。わずか10分足らずの短時間であったため、立ち去ろうとする大石知事に向かって筆者(横田一)はこう問いかけた。
横田:ダム以外の検討はしないのですか。ここを見て、ダムの必要性をもう一回再検証する考えはないのですか。
大石知事は「ではまた」とだけ口にして記者団に一礼、車に乗り込もうとした。筆者は声かけ質問を続けた。
横田:(県内実力者の)金子(原二郎参院議員)・谷川コンビに言われたままなのですか。
(県知事)選挙でお世話になった二人の言いなりですか。今日はパフォーマンスだけで、本格的な見直しはしないのですか。
しかし大石知事は一言も発することなく、ワゴン車に乗り込んで現場から走り去った。
ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
記事一覧へ
|
『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』
選挙や五輪を優先して、コロナ感染爆発を招いた小池百合子東京都知事。
都民のためでも、国民のためでもない、すべては「自分ファースト」だ!
|