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ある日突然、逮捕・収監され借金1億円を背負った男性。彼が見た、刑務所内での「ヒエラルキー」

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親族トラブルで起訴され、逮捕・収監されてしまった男性。獄中で見た犯罪者たちの素顔とは

(※編集部注 この記事は特定の心的外傷を刺激する可能性があります。ご注意下さい)

普通の人生だったはずがある日、突然…

 ある日突然、逮捕され刑務所に収監。家族を失い、おまけに莫大な借金を背負う……普通に生きていれば、まず起こり得ない出来事を体験した人がいる。  2013年に親族とのトラブルで逮捕され、2年以上に渡る勾留と服役を経験。出所した現在は自営業で生計を立てているPrisoner氏(@prisoner1773)だ。  現在40代前半の彼は収監中に得た性犯罪者たちの生態をリソースに、ツイッターと公式LINEで性犯罪被害者からの相談に乗るという一風変わった活動を行なっている。 「反社でもなく、普通に生きてきて警察にお世話になったこともなかったので、出所後にどう社会復帰して良いかわからなかったんですね。それで、情報交換用にアカウントを開設して、刑務所内で出会った性犯罪者についてポツポツと呟いていたらそのうち性犯罪被害者からの相談を受けるようになり、今に至ります」  複雑な家庭環境で育ち、早くに父を亡くしたPrisoner氏は高校卒業とともに上京し、30代の頃に不動産業で独立。プライベートでは家庭を築き、仕事も順調だった。そんな平凡ながらも幸せな日々に暗雲が訪れたのは、2009年のことだった。 「海外に住んでいる親戚が、マネーロンダリングに協力してほしいと言ってきたんです。うちの一族は祖父母が財をなしたお陰で遺産がたくさんあるのですが、相続税がかからないようにしてほしいという話でした」

早朝、警察に踏み込まれ寝間着のまま連行

 それで貸付という名目で多額のお金を預かったが、3年後の2012年に突如、返還を求められた。 「しかし簡単に言うと、複雑な形で回していたのですぐに返すのは無理だったんですよ。すると『横領された』といって日本の警察に被害届を出されてしまったのです。任意の事情聴取でもしっかり経緯を説明したし、こちらの弁護士も『逮捕まではないだろう』と言っていたので、安心していたんですが……」  それから2か月後の早朝6時半。  ドアを激しく叩く音で目が覚め、玄関を開けると令状を持って立ち塞がる警察官らの姿があった。Prisoner氏は唖然とする妻子の目の前で手錠をはめられ、着の身着のままで連行されてしまった。 「80年代のテレビで流行っていたドッキリじゃないかと思いました。不動産業でも、えげつない事案は日常茶飯事だったので慣れていたつもりでしたが、まさか自分に降り掛かってくるとは思いませんでしたね」  そのまま留置所に入れられたPrisoner氏は、勾留期限の20日目に起訴され、続いて半年間を東京拘置所で過ごすことになった。 「しかも起訴されないと思ったら、最終日の17時55分に裁判官面調書で訴因変更、求令起訴というパワープレーでした」  一審ではマネーロンダリングを依頼された決定的な証拠を提示できず、敗訴。その間、拘置所には捺印済みの離婚届と養育費に関する念書が届き、印鑑を持っていないため拇印を押して返送した。それ以降、子供たちとは会えていないが「まあ、世の中そんなもんです。割り切って前向きに生きるしかありません」と笑う。
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拘留中に背負った借金は1億円
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