更新日:2022年07月01日 14:16
スポーツ

24歳でステージ4の肝臓がんを患った格闘家。転移と再発を繰り返して“気づいたこと”

格闘家・高須将大さんの今年4月に開設したブログ 「余命3ヶ月だった男」が、反響をよんでいる。 今年29歳の高須さんは、24歳の時、肝臓がん「ステージ4」であることが判明。これまで2度再発し、4度の手術を行った。闘病中もリングに立っていた高須さんは、現在最後の治療を終えて2年半。3ヶ月に一度の定期検査では毎回緊張するが、「がんになってなかったら、格闘技をやめていたかもしれない」と笑う。 高須さんがそう語る背景には、「目標」を持つことの大切さと、生き方を変えてくれたいくつかの出会いがあった。高須さんの希望の源泉について、話を聞いた。

格闘技を始めて3年、発覚した「大きな腫瘍」

高須将大

格闘家・高須将大さん

やんちゃなタイプではなかったものの、スポーツや勝負ごとは好きだった。高校までは野球少年。卒業後は就職したが、何か打ち込めるものに飢えていた。「生きていくうえでの目標」がほしかった。 そんな折、目に留まったのが山本KID徳郁さんだ。当時、高須さんは20歳。山本さんのファイトスタイルと筋肉に魅了され、格闘技への興味がわく。近所にあったブラジリアン柔術をメインとする道場の門を叩いた。 「ちょっとはいけるかなと思っていたのに、自分より全然細いオッサン達にボコボコにされました(笑)。何度も挫折して、やめようと思いましたね。でも、楽しさが勝って」 ブラジリアン柔術の大会で優勝を重ねるうちに実力が認められ、MMA(mixed martial arts、総合格闘技)のプロデビューが決まった。23歳になっていた。 デビュー戦はドロー、2戦目は勝利。3戦目に向け、練習をしていた2017年6月のある日のことだ。スパーリングで蹴られた腹の痛みがひかず、アバラが折れたのかと会社の診療所へ。エコー検査で、肝臓に腫瘍があることがわかった。

1度目の術後2ヶ月で再発と転移、腫瘍は悪性。どん底だった日々

高須将大大きい病院で改めて検査をしたところ、腫瘍は10センチもの大きさ。即刻手術する以外の選択肢はなかったが、何せプロスタートしたばかりだ。さまざまな感情が胸の中を交錯した。 「まさか自分が…と、まずはそのショックと、試合を諦めるしかないショック。手術の恐怖もありました」 その2週間後、7月になってすぐ手術。病理結果で腫瘍は悪性――がんだと告げられつつも、復帰戦に向け体作りをしていた矢先、9月の検査で再発、肺への転移も明らかになる。高須さんは、「5年間の闘病期間中、この頃がいちばん辛かった」と振り返る。 「手術したばかりで気合を入れ直した時だったし、今度は抗がん剤ということにも恐ろしさがあって。治療への気力が一切出なくて、部屋にこもっていました」 どん底に突き落とされ、「がんに打ち勝ってやろう」なんて強い気持ちも持てなかった、というのが本音だ。しばらくして、そんな高須さんを心配した道場の井上和浩代表から、〈ジムに来いよ〉という言葉をもらった。正直そんな気分ではなかったが、行ってみると、また治療を頑張ってみようと思えた。
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誰も希望を持たせてくれないなか、出会った「光」
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大阪府出身。大学卒業後、会社員を経てライターに。エンタメ系での著名人インタビューをメインに、企業/人物の取材記事も執筆。トレンドや話題の“裏側”が気になる。『withnews』で“ネットのよこみち”執筆中。Twitter:@Yoshikawa_Miho_

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