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旧統一教会との関係をごまかし続ける自民議員。「知らなかった」ワケがない

自民党と旧統一教会の“貸し借り関係”

前川喜平・元文科事務次官

前川喜平・元文科事務次官

 昨年秋の総選挙以降は開かれていなかった野党合同ヒアリングが復活し、自民党と統一教会の関係について追及を始めた。8月6日には、下村博文・文科大臣時代の名称変更問題について前川喜平・元文科事務次官から名称変更問題についてヒアリング。終了後の囲み取材では、筆者の質問に対して選挙支援への恩返し(貸し借り関係)の可能性を前川氏は次のように指摘した。 ――(下村氏は)第二次安倍政権で文科大臣に任命されたので、安倍さんの意向を受けて名称変更を認めてしまおうとしたのでしょうか。(名称変更で霊感商法の被害拡大)問題があるのを知っていても、安倍さんが(統一教会と)三代にわたる付き合いなので、(名称変更を)認めてしまおうと。 前川「確証はありませんが、そのストーリーは十分に成り立つような気がします」 ――(旧統一教会が自民党を)選挙で応援してくれるので、(文科大臣だった)下村さんは「(名称変更を)認めてしまおうかな」という“アベ友政治”の一環のような気もしますが。 前川「やはり政治家と教団の間に貸し借り関係があるだろうと。貸しがあれば、借りもあると。借りがあれば、借りを返すと。こういう関係は必ず出てくるでしょうから。だから(選挙で)ものすごくお世話になっているのなら、逆に同じくらいお世話をするでしょう。特に与党の政治家に多いパターンだと思う」  安倍元首相の銃撃事件のキーワードは、貸し借り関係。自民党への選挙支援と旧統一教会への便宜供与(名称変更など)がギブ・アンド・テイクの関係になっており、これが事件の誘因になったということだ。

筆者は見た。井上義行議員を旧統一教会が熱烈支援

7月6日の井上義育参院議員(自民党全国比例で当選)への支援集会。「食口(信徒)になりました」と紹介された

7月6日の井上義育参院議員(自民党全国比例で当選)への支援集会。「食口(信徒)になりました」と紹介された

 筆者が旧統一教会の熱狂的な選挙支援を目の当たりにしたのは今年7月6日。「神日本第1地区 責任者出発式」と銘打った支援集会が開かれていた、さいたま市文化センターの大ホールは熱気に包まれていた。  第一次安倍政権で首相秘書官を務めた井上義行候補(当時・自民党全国比例区)が、幹部から「井上先生はもうすでに食口(信徒)になりました」と紹介され、続いて「私は大好きになりました」「必ず勝たなければいけない。勝ちこそが善であり、負けは悪でございます」と訴えるごとに、大きな拍手と歓声が沸き起こった。  続いて井上候補が挨拶。オブラートに包んで話すことが苦手で「普通の政治家と違う」と強調しながら、同性婚反対を訴えたのだ。 「(『同性婚反対』と言ったことで)今、トレンド入りしました。そして私が演説しようとすると『差別するな』というプラカードを持って(抗議が)始まりましたよ。まるで安倍元総理のようになってきましたよ(笑)。でも、またさらに大炎上になるかもしれないけれど、私は同性婚反対を、信念を持って言っていますから!」  すると、再び大きな拍手と歓声が響き渡った。そして、最後は「投票用紙二枚目は井上義行!」と支持を連呼するコールで集会は締めくくられた。旧統一教会が自民党の熱烈な“支援部隊”となることを目の当たりにした瞬間でもあった。 (7月7日のIWJの筆者記事「『LGBT差別』と炎上中の自民党・井上義行候補(全国比例)が、自民党の支持母体で、井上氏自身も信徒の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)会合で『炎上上等』と表明! 井上氏に直撃取材! 『私は、同性婚反対に信念を持って言っていますから!!』」で紹介)  しかし今回の参院選で当選した井上氏は、この支援集会の写真と音声が民放各局で紹介されても「賛同会員で、信徒ではない」と反論した。 「ひろゆきが直言『安倍氏の死を嘆くのに、カルトを規制しない自民党に怒らない人はアホ』」(「日刊SPA!」7月22日)と銘打った記事で、ひろゆき氏が「現役信徒(※1)が自民党の議員になったりもしています」と指摘。編集部の注で「※1:議員自身は『信徒でなく賛同会員』と主張」と補足したのはこのためだ。  なおひろゆき氏は7月14日のツイッターで、「安倍元首相の秘書官・井上参院候補 旧統一教会集会で『信徒になった』と紹介される」(7月10日のソクラの署名記事)を紹介。  一方の井上氏は7月21日発売の『週刊文春』などで「信徒でなく賛同会員」と反論。先の支援集会での紹介のされ方と、食い違ったままなのだ。
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ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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