安倍派事務方トップの西村氏も井上議員の集会参加を「知らない」
鴻巣市長選最終日に応援演説に駆けつけた清和会(安倍派)事務総長の西村康稔・元大臣
安倍元首相銃撃事件から15日後の7月23日、筆者は清和会(安倍派)事務総長の西村康稔・前ワクチン担当大臣を直撃、旧統一教会の支援を受けた井上議員の処遇について聞いてみた。「鴻巣市長選(7月24日投開票)」の自民推薦候補への応援演説を終えた時のことだ。
――井上義行先生を清和会(安倍派)に入れるのですか。旧統一協会の支援は問題ないのですか。
西村「事実を知らないので、すみません」
唖然とした。筆者は支援集会に参加した井上議員の取材(写真撮影と録音)をしている。IWJの記事やソクラで紹介して以降、テレビ各局も報道。7月15日のTBSのニュース23を皮切りに翌々日のテレビ朝日の「サタデーステーション」をはじめ、3日後の日本テレビの「ミヤネ屋」などが次々と取り上げている。それなのに、安倍派事務方トップの西村氏は「知らない」と言い放ったのだ。納得がいかなかったので、筆者は声掛け質問を続けた。
――旧統一協会の支援を受けた井上義行議員を、清和会に入れたままなのですか。脱会・離党させないのですか。何でもいいから当選させればいいのですか。清和会と旧統一協会は、ズブズブの関係ではないですか。
西村(無言のまま)
安倍派事務方トップの西村氏こそ、無念さを感じてカルト規制に乗り出しても不思議ではない。しかしその兆しすら見て取れなかったのだ。
最後に「一言お願いします。清和会の事務総長でしょう」と筆者は大声を張り上げたが、西村氏は無言のまま車に乗って走り去ったのだ。
「清和会(安倍派)と旧統一教会との関係をウヤムヤにしたまま、嵐を過ぎ去るのを待つ」という姿勢が垣間見える。「安倍元首相の無念を晴らすためにも、カルト宗教が日本人を喰い物にしているのを止めるべきだ」というひろゆき氏の訴えを受け止めて、霊感商法の規制強化をしようという意気込みは伝わってこなかった。
水道橋博士
一方、8月6日に野党合同ヒアリングを復活させた野党(立民・共産・れいわ・社民)は3日後の9日にも第二回合同ヒアリングを開催。統一教会の名称変更問題に加えて国葬問題もテーマに取り上げた。反カルト法(カルト規制)に前向きの野党と、後ろ向きの自民党という対決の構図となりつつある。
8月3日、国会議事堂正門に姿を現した水道橋博士(れいわ新選組参院議員)に聞くと、こう意気込んだ。
――反カルト法、カルト規制、霊感商法については。
水道橋博士「やりたいですね。どの辺りまでできるのか。(今回の臨時国会は)3日間しかないですけれども。本当に時期を見て、やりたいですね。そういう意味では、れいわは何もバックにないのでやりやすいと思います」
――閉会中審査もあるし、(その後の)臨時国会もあるしと。
水道橋博士「そうですね。他に後ろめたいところ(自民党など)はありますから、斬りこめると思うので、やりたいですね」
――特に自民党に斬り込めると。
水道橋博士「斬り込めると思いますね」
山本太郎・れいわ新選組代表も同じ立場だった。
――カルト規制、統一教会霊感商法の規制についての意気込み、考えをお聞きしたいのですが。
山本代表「過去にも解散命令が出された宗教が存在しています。それを考えるならば、これほど大きな社会問題化をした、この国に生きる人々を詐欺的な手法によって人生を壊してしまうようなカルト教団があることに関しては、しっかりと規制がなされなければならないと思います。そのことに関して私どもは、力を合わせてやっていきたいという考えです」
「政策提案型」を掲げた立憲民主党の泉健太代表が、枝野代表時代の対決路線に若干回帰、野党合同ヒアリングが復活したことで統一教会問題をめぐる与野党の対決色が強まるのは確実だ。岸田政権の支持率が急落する中、反カルト法(カルト規制法)がどう具体化していくのか注目される。
文・写真/横田一
ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数